1991 Fiscal Year Annual Research Report
金属基繊維強化複合材料の界面反応による力学特性劣化のメカニズム
Project/Area Number |
01550549
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
落合 庄治郎 京都大学, 工学部, 助教授 (30111925)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長村 光造 京都大学, 工学部, 教授 (50026209)
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Keywords | 複合材料 / アルミナ繊維 / 界面 / アルミニウム / 強さ / 破壊 / エネルギ-解放率 / 温度 |
Research Abstract |
アルミナ繊維強化アルミニウムではマトリックスに銅を添加すると、高温特性は改善されるが、室温での引張強さは無添加材に比して低くなることが知られている。本研究では繊維ーマトリックス界面に形成されるCuAl_2の挙動からこの理由を説明することを目的に、実験・理論両面より検討を行なった。試料には高圧鋳造法で作製したγーアルミナ繊維強化Alー5%Cu基複合材料を用いた。引張試験は大気中種々の温度で行なった。組織および破面観察はそれぞれSEM、EPMAで行なった。またCuAl_2の繊維強さに及ぼす影響を知るため、複合材より化合物を付着させたまま取り出した繊維と化合物を取り除いた繊維の強さを室温で測定した。また比較のため、純アルミニウム基複合材から抽出した繊維の強さも測定した。主な結果は以下のように要約される。 (1)化合物が付着した繊維は低強度であったが、化合物を取り除くと強さは上昇した。化合物が付着した繊維強さが低いのは、化合物の早期破断で形成されたクラックが伝播するためと考えられた。このことをモデル計算により確めた。(2)複合材強さは室温では0.6GPaであったが、500Kでは約20%上昇し、それ以上の温度では温度の上昇と共に低下した。上昇の原因はCuAl_2が塑性変形することにより、化合物が破断しにくくなり、また化合物破断によりクラックが形成されても繊維への進展が起りにくくなるためと考えられた。クラック先端のエネルギ-解放率の計算よりこのことを確認した。(3)高温ではマトリックスは軟化する。計算機シミュレ-ションの結果と対応させると、500K以上では化合物の軟化のため繊維強度が上昇する以上にマトリックスの軟化が臨界長さを長くし、複合材強さの低下を引き起していると考えられた。
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