1989 Fiscal Year Annual Research Report
遷移元素添加超急冷アルミニウム合金の構造および組織解析
Project/Area Number |
01550554
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
美浦 康宏 九州大学, 工学部, 教授 (80037879)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀田 善治 九州大学, 工学部, 助手 (20173643)
佐野 毅 九州大学, 工学部, 助手 (70037810)
根本 実 九州大学, 工学部, 教授 (90005265)
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Keywords | 超急冷法 / 急速凝固組織 / アルミニウム合金 / 急冷粉末 / 準安定相 |
Research Abstract |
平成元年度はAl-Cr2元合金(Cr濃度〜6重量%まで)の超急冷薄帯およびアトマイズ粉の結晶構造と組織をX線回折法および光学顕微鏡あるいは電子顕微鏡によって解析、観察した。これまでの結果の要約は次のようである。 1.超急冷薄帯およびアトマイズ粉の凝固組織はCr濃度によって異なり、アトマイズ粉ではさらに粉末サイズにも依存する。すなわち、Cr濃度が低く、粉末粒径が小さいほど固溶体組織になり易く、逆にCr濃度が高く、粉末粒径が大きいほど化合物相が晶出または析出する傾向が強い。これはアトマイズ粉および薄帯作製時の冷却速度や凝固速度を考えることによって理解される。 2.母相固溶体の格子常数はCr濃度および推定される冷却速度とともにほぼ直線的に小さくなる。これはCrの原子寸法(r=1.27Å)がAlのそれ(r=1.43Å)より小さいことから理解される。 3.凝固組織に現れる化合物のほとんど全ては、X線回折ピ-クの解析によって安定相θ-Al_<13>Cr_2であることが判明した。η-Al_<11>Cr_2は本研究の超急冷組織中には認められず、急冷処理前の鋳造材においてのみ観察された。 4.上記の化合物は典型的にはミクロンオ-ダ-の棒状であり、それらが集合して花弁状を呈している。この花弁状化合物の制限視野電子回折パタ-ンには5回対称性を示すものが観察される場合がある。これは準周期結晶(quasicrystal)の存在を示すものと考えられる。安定相θ-Al_<13>Cr_2の結晶構造と関連すると推察される。 5.同一Cr濃度の母材から作製したアトマイズ粉と薄帯とでは、アトマイズ粉の方がCrの強制固溶量が低いが、凝固組織の温度にたいする安定度はより高いと判定される。
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