1990 Fiscal Year Annual Research Report
チタンと鉄鋼材料の拡散接合性に及ぼす母材中窒素と各種インサ-ト金属の影響
Project/Area Number |
01550558
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
桃野 正 室蘭工業大学, 工学部, 助教授 (10002940)
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Keywords | 拡散接合 / 接合強さ / クラッド / チタン合金 / 窒化 / インサ-ト金属 / 接合界面 / クロム鋼 |
Research Abstract |
チタン/鋼複合材料の代表例であるチタンクラッド鋼は、その優れた耐食性から、近年需要が著しく増大しているが、クラッド鋼の2次加工性が劣る問題が残されている。本研究は接合界面反応の制御を目的として、1)母材鉄鋼中の窒素を制御し、窒化チタン(TiN)を中間層とする接合、2)チタン合金、FeーSi合金、FeーCr合金をインサ-ト材とする接合について検討した。得られた結果は以下のとおりである。 1.Ti/鉄鋼接合体では、Ti側にカ-ケンダルボイドが形成され接合強さの低下をもたらす。 2.Ti/ガス軟窒化鋼の接合においては、TiNが接合界面に形成される。しかしガス軟窒化による接合強度の改善は得られなかった。 3.Ti/イオン窒化鋼の接合においては、接合温度が、850℃ではTiN、1000℃ではTiNおよびTiーFe系金属間化合物が接合界面に形成された。TiN層はTiC層と同様に相手母材中へのTi、Feの拡散を抑制する作用がある。 4.Tiー6A1ー4V合金/S20Cの接合において、接合温度が850℃ではTiC、1000℃ではTiC、Fe_2Tiが接合界面に形成される。また継手の接合強度は、接合温度900℃で最大値を示し、850℃よりも1000℃で接合した継手の方が、わずかに高い値を示した。これは1000℃では脆弱なTiーFe系金属間化合物層が形成されるにもかかわらず、接合界面の密着性が向上するためと考えられる。 5.Ti/Feー2%Si合金継手では1000℃、0.8kgf/mm^2、30minの接合条件で、最大27kgf/mm^2の接合強さを示す。これは鋼中のSiがTiCの形成を促進し、カ-ケンダルボイドの形成を抑制するためと考えられる。 6.Ti/Feー30%Cr合金継手では1000℃、0.8kgf/mm^2、30minの接合条件で、最大34kgf/mm^2の接合強さを示す。この理由としてはCrはTiに固溶し、接合温度が850℃においては、界面に残留する未接合部分を抑制する効果があること、また1000℃においては、それらの効果に加えて金属間化合物層の層成長を抑制する効果が考えられる。
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