1989 Fiscal Year Annual Research Report
光音響分光法による溶射皮膜の非破壊試験に関する研究
Project/Area Number |
01550559
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
二俣 正美 北見工業大学, 工学部, 教授 (60003191)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨士 明良 北見工業大学, 工学部, 助教授 (00199275)
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Keywords | 光音響分光法 / 非破壊試験 / 固体試料 / 溶射皮膜 |
Research Abstract |
光音響分光法は、物質に取込まれた光エネルギ-が無放射遷移により熱を放出して元の状態に戻る過程を測定する分光法であり、高い検出感度とリアルタイムの応答性を有し、光学的に厚く不透明な物質及び散乱性の強い物質に対してもその吸収特性を測定できるという特徴がある。 本研究は、これらの特徴を有する光音響分光法を現在、その非破壊試験法が国際的にも確立されていない溶射皮膜の試験に適用することを目的にした基礎的研究である。本年度の研究において得た成果並びに新知見の概要は次の通りである。 1)研究に使用の光音響分光装置は、信号の基準化をダブルビ-ム法により行っているが、光ビ-ムを2系統に分割するビ-ムスプリッタ-に、アルミニウム蒸着ミラ-を用いることによってほぼ完全な基準化を可能にした。また、測定用プログラムの拡張と改良によって測定能率を向上させた。 2)固体の光音響効果に関するRG理論によれば、光学的に不透明で熱的に薄い試料では光音響スペクトルは得られず、信号は単に光源の強度に比例することになる。しかし、実験的には例えば銅皮膜については約525〜600nmの波長域で急激に変化するスペクトルが測定され、RG理論には一致しない。この原因はRG理論では試料表面での光の反射の影響を考慮していないことに起因することを明らかにし、RG理論を一部修正する必要があることを示した。 3)光音響スペクトル及び任意の波長に着目した光音響強度を測定することによって、溶射皮膜の材質、厚さ、粗さ、気孔率、接合部の状態などに関する情報が得られることを示し、従来困難とされていた溶射皮膜の非破壊試験に光音響分光法の適用が期待できることを明らかにした。
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