1989 Fiscal Year Annual Research Report
焦電センサ-による光熱分光法とそのフロ-分析への応用の研究
Project/Area Number |
01550571
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
樋口 照男 大阪大学, 理学部, 助手 (50143821)
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Keywords | 光熱分光法 / 焦電センサ- / フロ-分析法 / 吸光分析法 |
Research Abstract |
試料溶液に直接浸すことのできる焦電センサ-プロ-ブと励起光の50mWHeーNeレ-ザ-(632.8nm)を用いて吸光分析のための光熱分光分析計を組み立てた。プロ-ブ端面の真近(0.1mm程度)にレ-ザ-光束を通過させることによりレ-ザ-光の試料溶液による光吸収のために生ずる熱を原因とするプロ-ブ端面での温度変化を検出しプロ-ブからの出力電圧と吸光種の濃度との関係(検量線)を検討した。モデル試料としてブリリアントブル-水溶液を用いとき検量線は10^<-9>M(moldm^<-3>)ー10^<-6M>の範囲で直線となり検出限界は吸収係数で2.3×10^<-4>cm^<-1>であった。この値は他の光熱分光法に比べまだ1ー2桁高いが励起光出力を考慮すれば同程度の値である。一方出力の時間変化を検討した結果プロ-ブ端面と光吸収による発熱源であるレ-ザ-光束間の距離が出力に強く影響した。これは熱拡散がこの方法の重要な問題であることを示し現在理論的に解析中である。これに関する今までの知見より現在用いているロックイン測定よりレ-ザ-パルスに対する出力信号の測定が吸光分析に適当であると考えられるためこれを計画中である。この光熱分光法をモリブデンブル-法によりリンの定量およびインドフェノ-ル法によるアンモニアの定量に応用した結果良好な検量線を得ることができ検出限界として各々1ppb(Cpーpo^<3->_4)および2ppb(CNーNH_3)を得た。またこれを九頭竜湖(福井県)や箕面川(大阪府)で採取した水の分析に適用しこの方法が天然水の実分析にも充分適用できることを確かめた。焦電センサ-プロ-ブをフロ-セル中に組み込みブリリアントブル-水溶液の検量線を検討した結果上述のバッチ法と同程度のS/N比の信号や検出限界が得られた。これは当初予想していた他の光熱分光法(光音響法や熱レンズ法)に見られない利点ー振動やフロ-による信号の乱れが少ないーが確かめられたことを意味し今後フロ-分析への応用をさらに検討する。
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