1990 Fiscal Year Annual Research Report
ICP質量分析における共存元素等による干渉機構の解明と干渉除去
Project/Area Number |
01550573
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
河口 広司 名古屋大学, 工学部, 教授 (40023220)
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Keywords | 誘導結合プラズマ / 質量分析 / 四重極質量分析計 / 共存元素の干渉 / スペクトル干渉 / プラズマ電位 |
Research Abstract |
1.ICP質量分析法ではスペクトルが比較的単純であることから、ICP発光分光分析法に比べてスペクトル干渉の少ないことが特徴の一つとなっている。しかしながらマトリックス元素が共存する場合には、目的元素イオンのスペクトルに、共存元素そのもの、もしくは共存元素から生ずる酸化物イオンや2価イオンなど同重体イオンのスペクトルが干渉することにより、目的元素の測定に重大な影響を及ぼすことがある。酸化物イオンや2価イオンの生成はプラズマの電位と深く関わっているため、銅製の水冷式のプロ-ブを試作し、これを試料導入インタ-フェ-スの前に置いてプラズマの電位を測定した。試作したプロ-ブは水冷しているため、長時間プラズマ中に挿入しても融けたり酸化皮膜を生成することなく、安定に電位を測定することが可能だった。測定の結果、2価イオンが生成しやすいような操作条件下では、プラズマの電位が高くなることが本実験でも確認された。 2.プラズマにおける高周波電位は、プラズマと誘導コイルとの容量的な結合により生じるため、この容量的な結合を少なくするような静電的なシ-ルドを施したト-チ(シ-ルド水冷ト-チ)を試作した。このト-チを用いてプラズマの電位を測定したところ、電位が大幅に下がり、操作条件を変えても電位があまり変化しないことを確認した。このト-チにより測定した質量スペクトルでは、2価イオンはほとんど生成しなくなった。またアルゴンガスなどに起因する種々の分子イオンを含めたバックグラウンドイオンの強度も減少した。しかしながら酸化物イオンについては、その生成割合が若干上昇した。シ-ルドト-チの場合の共存元素による非スペクトル的な干渉についての検討はまだ十分には行っていないため、今後も引続き検討していく予定である。
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