1989 Fiscal Year Annual Research Report
特異的な反応を用いる有機非電解質の識別とイオン交換膜輸送システムの設計
Project/Area Number |
01550583
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
井川 学 神奈川大学, 工学部, 助教授 (70120962)
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Keywords | イオン交換膜 / 選択的透過 / アルデヒド / 亜硫酸水素イオン / 有機非電解質の識別 / ヒドロキシアルカンスルホン酸 |
Research Abstract |
金属イオンの膜透過の報告は多いが、有機非電解質の選択的透過についてはほとんど報告がない。本研究では、アルデヒドが亜硫酸水素イオンと特異的に反応してヒドロキシアルカンスルホン酸(HASA)イオンとなることを利用してアルデヒドを識別したのち、陰イオン交換膜によって選択的に輸送させることを試み、その透過機構の検討を行った。得られた研究成果の要点を列記すると以下の通りである。 1.陰イオン交換膜に様々なイオンを保持させてホルムアルデヒドの輸送を測定したところ、Cl型の膜ではほとんど輸送されていないが、膜をHSO_3型にすることにより、ホルムアルデヒドは膜内の亜硫酸水素イオンと反応しながら濃度差に基づいてホッピング輸送された。さらに受相側へ亜硫酸水素ナトリウムを添加すると、濃度差に基づく輸送だけではなくイオン交換が働くため輸送速度は増大した。 2.HSO_3型の膜について、輸送速度の濃度依存性を測定したところ、アルデヒドの流束は濃度の0.6乗に比例するという興味ある結果が得られた。膜をCl型とすると、アルデヒドは漏れによる輸送となり、流束は濃度差に比例した。 3.様々なアルデヒドについて、HSO_3型膜内の輸送速度を測定したところ、HASA生成定数の大きいアルデヒドほど効率よく輸送された。 4.以上の結果より、アルデヒドはこの系の中で亜硫酸水素イオンとの付加物を膜内で生成しながら濃度差に基づくホッピング輸送とイオン交換により輸送されることが確認された。今後さらに膜への分配過程と放出過程の検討、輸送速度式の確立を試み、これらの結果に基づいて糖とホウ酸等の他の有機非電解質の系への展開を図るとともに、アルデヒドから糖を生じるホルモ-ス反応の膜システム内での制御にまで、研究を発展させる予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Manabu Igawa,Yasuko Fukushi,Takashi Hayashita,Michael R.Hoffmann: "Selective Teansport of Aldehydes across an Anion-Exchange Membrane via the Formation of Bisulfite Adducts." Industrial and Engineering Chemistry Research. 29(5). (1990)
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[Publications] Manabu Igawa,Michael R.Hoffmann: "Active Transport of Formaldehyde through an Anion Exchange Membrane via the Formation of Bisulfite Adducts." Chemistry Letters. 597-600 (1988)
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[Publications] Manabu Igawa: "Ion Separation by Charge-Mosaic Membrane System" Separation and Purification Methods. 17(2). 141-154 (1988)