1990 Fiscal Year Annual Research Report
無水フッ化水素溶液系を用いたグラファイトインタ-カレ-ション反応の設計と制御
Project/Area Number |
01550593
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
東原 秀和 信州大学, 繊維学部, 教授 (40026141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沖野 不二雄 信州大学, 繊維学部, 講師 (60214037)
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Keywords | グラファイト層間化合物 / フッ素化学 / フッ化水素 / 高エネルギ-密度リチウム電池 |
Research Abstract |
非揮発性低次フッ化物、あるいは三元系フッ化物の濃度をコントロ-ルしたHF溶液に、F_2ガスを間欠的にフロ-することにより、ステ-ジ数と層間化学種が制御された各種のフッ化物ーグラファイト層間化合物(GIC)の合成法を確立した。この新規合成法により得られた層間化合物のうち、C_xSnF_yについての物性を系統的に調べた。その結果、以下に示すような極めて興味深い現象が観測された。 1.C_xSnF_yの1 ^<19>FーNMRの線幅の温度依存性を測定した結果、173〜133Kの間でmotional narrowingの現象が観測された。 2. ^<119>Snのメスバウア-スペクトルの温度依存性を測定した結果、ピ-クの半値幅が160〜140Kで不連続に変化することが明らかにされた。これらの現象は、グラファイト層間にある、SnF_y層の二次元相転移、秩序ー無秩序転を示唆している。 3.Cー軸方向の周期の温度依存性を測定した結果、123〜143Kの間で、およそ0.1Aの不連続な収続な収縮が観測された。この結果は、1.、2.の結果ともよく対応している。すなわち、固相ではある程度隙間のある状態で構造が秩序づけられており、液相では乱雑になることで隙間が減少する、固体ー液体相転移と考えられることができる。 4.第2ステ-ジのC_xSnF_yを正極とするリチウム電池、C_xSnF_y/1M LiClO_4ーPC/Li(PC:プロピレンカ-ボネ-ト)を試作し、その電池特性を調べた。電流起電力は4.1Vと非常に高く、この値から計算した理論エネルギ-密度は1250Wh/Kgにも達する。電池密度10μA/cm^2、50μA/cm^2における放電電位は、それぞれ2.0V、1.5Vであり利用率は51.8%であった。放電生成物を解析することによって、放電機構を明らかにし、放電電位の安定性と利用率の向上、過電圧の制御が今後の課題である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] I.Fournes et al.: "Structural Investigation and ^<119>Sn Mo^^¨ ssbauer Study of Graphite/SnF_4 Intercalation Compound." Mat.Res.Bull.25. 79-87 (1990)
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[Publications] K.Amine et al.: "Optical Determination of the Charge Transfer in Graphite Intercalation Compounds with Chromium and Rhodium Fluoride." Mat.Res.Bull.25. 1219-1226 (1990)