1989 Fiscal Year Annual Research Report
コロイド法によるジルコニア含有セラミックス複合体のケミカルプロセシング
Project/Area Number |
01550595
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
林 卓 名古屋大学, 工学部, 助教授 (70023265)
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Keywords | ジルコニア含有セラミックス / コロイダルフイルトレ-ション / 高靭性 / ケミカルプロセシング / 複合粒子 / ゼ-タ電位 |
Research Abstract |
ジルコニア含有セラミックスは高強度、高靭性を有するため多くの系について研究がなされているが、ジルコニアをマトリックス中に均一に分散させる方法の開発が緊要となっている。本研究では、マトリックス粒子中に第二微量成分を均一に添加することが可能である化学的合成法をも用いて、複合粒子の調製とその成形プロセスについて検討した。まずモデルとしてジルコニウムアルコシドの加水分解により、有機溶媒中に高分散した球状コロイダルシリカ表面上にジルコニア水和物が優先的に析出する条件を明らかにし、その生成条件をムライト/ジルコニア複合粒子の合成に適用した。4mol%Y_2O_3-ZrO_2の組成となるようにZr(O^1Pr)_4とY(O^1Pr)_3を秤量し、i-PrOH中に溶解したアルコキシド溶液とムライトのi-PrOHサスペンジョンを還流下で撹拌、混合しながら反応させた後、pH4の水で加水分解し、再び還流し、ジルコニア含有ムライト複合粒子を調製した。コ-ティング法により得られた複合粒子の比表面積および粒径は原料ムライトに比べ増加した。電子顕微鏡による微構造観察やゼ-タ電位測定からジルコニアがムライト粒子に優先的に析出し、コ-ティングされていることがわかった。つぎに、この複合粒子のサスペンジョンを当研究室で開発したコロイダルフイルトレ-ション装置を用いて成形した。この方法における成形体強度と濾過速度を高めるため陽イオン界面活性剤の添加効果を調べた。コロイダルフイルトレ-ションの界面活性剤の最適濃度は、ゼ-タ電位の測定から決定し、複合粒子表面を界面活性剤がほぼ覆ったときの濃度であった。コロイダルフイルトレ-ション成形体はポア分布が狭く、かつ平均ポア径が小さい均質な成形体であり、高い焼結性を示した。またこのケミカルプロセシングにより得られた焼結体の機械的性質は、従来の方法により得られたものに比べかなり向上した。調製した複合セラミックスの破壊靭性値は2.2から5.6MPa・m^<1/2>まで向上し、組織も均一であった。このコ-ティング法を用いたケミカルプロセシングは新しいセラミックス材料の開発に有効な合成法であると考えられる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Shin-ichi HIRANO: "Chemical Processing of Zirconia-containing Oxide Composites by a Colloidal Method" MRS Int'l Mtg.on Adv.Mats.3. 55-61 (1989)
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[Publications] Shin-ichi HIRANO: "Chemical Processing of Zirconia/Oxide Composites with Surface Modification through Metal Alkoxide Route" Ceramic Powder Processing Sci.(Deutsch Keramische Gesellschaft). 2. 61-68 (1989)
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[Publications] 平野眞一: "コロイダルフイルトレ-ション成形法によるムライト/ジルコニアセラミックスの調製と評価" 粉体粉末冶金協会.
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[Publications] 平野眞一: "ケミカルプロセシングによるジルコニア含有ムライト複合体の調製" 材料学会誌.