1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01550613
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
野中 勉 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 教授 (00016528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 則雄 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 助手 (10016412)
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Keywords | 直接電解法 / 間接電解法 / レドックス・メディエ-タ- / 不溶性物質 / メチルベンゼン / セルロ-ス / ニトロトルエン / 電解酸化還元 |
Research Abstract |
電解液に不溶または難溶の物質の電解反応がレドックス・メディエ-タ-を用いる間接電解法により円滑に進行することが検証された。 たとえば、希硫酸電解液にほとんど不溶なテトラメチルベンゼンの懸濁液を二酸化鉛陽極で電解酸化(直接電解)しても反応はほとんど進行しなかったが(通電量1F/molのとき変換率2.5%)、Ce^<4+>/Ce^<3+>レドックス・メディエ-タ-を用いる間接電解では変換率44.0%で反応が進行し相応するアルデヒド体とアルコ-ル体が生成した。同様に、希硫酸に全く不溶なセルロ-スの二酸化鉛陽極による直接電解酸化でも変換率(通電量0.06F/mol)2.3%であり反応は事実上進行しなかったのに対し、IO^-_4/IO^-_3レドックス・メディエ-タ-による間接電解酸化法では変換率16.0%(硫酸ナトリウム電解液中では21.5%)で反応が進行した。 一方、陰極還元反応においても間接電解法の有効性が実証された。すなわち、希硫酸に難溶なp-ニトロトルエンの銅陰極による直接電解還元では100%の変換率(通電量5.4F/mol)で反応が進行したが、主生成物(p-アミノフェノ-ル)の選択率は33%程度と低くかった。これに対して、Ti^<3+>/Ti^<4+>レドックス・メディエ-タ-による間接電解還元では変換率が91%とやゝ低下したものの選択率は89%に達した。 以上のように、直接電解では原理的にも実際上にも実施困難な不溶性物質の電解が均一系レドックス・メディエ-タ-による間接電解法によって可能となることが実証され、これによって、これまで水に不溶のための有機溶媒電解液の使用を余儀なくされた多くの有機化合物や高分子物質などを出発原料とする電解合成プロセスの開拓に新しい方法論を提供したことの意義は大きいと考えられる。
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Research Products
(1 results)