1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01550626
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
小倉 興太郎 山口大学, 工学部, 教授 (40035077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
右田 たい子 山口大学, 工学部, 助手 (90159161)
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Keywords | 低級炭化水素 / メタン / エタン / 光化学反応 / ヒドロキシルラジカル / ESR / メトキシラジカル / アミノメチルラジカル |
Research Abstract |
天然ガスの主成分であるメタンを含む低級炭化水素は自然界に豊富に存在する。また、メタンはバイオテクノロジ-を応用すれば、石油と異なって循環性のある炭素資源とみなすことができる。しかるに、低級炭化水素は化学的にきわめて不活性であるので、ほとんど燃料として消費しているのが現状である。本研究においては、メタンおよびエタンを水蒸気やアンモニアの存在において光化学的に高付価価値物質に転化することを目的とし、メタノ-ル、エタノ-ル、メチルアミン、エチレンジアミン等の物質が高収率で得られることが明らかになった。本研究は2種類の実験から成っているが、それぞれの成果について以下説明する。 (i)炭化水素-水混合系の光酸化。-メタンと水蒸気から成る混合気体を低圧水銀ランプを用いて光分解するとメタノ-ルやホルムアルデヒドを主成分とする生成物が得られた。これは、水の光分解によって発生したOHラジカルがメタンから水素を引き抜き、生成するメチルラジカルを出発物質とする2次光化学反応によるものである。エタン-水系の場合にはエタノ-ル、アセトアルデヒドなどが主生成物であった。この転換においても、OHラジカルによる水素引き抜きが一連のラジカル反応のキ-反応であった。両反応において、生成物の定量分析を行い、反応速度、量子収率を求め、反応機構を検討した。 (ii)光酸化反応中間体のESRによる検出。-光反応において生成する常磁性種をニトロソ化合物やナイトロン化合物に付加させ、ニトロキシドとして安定化し、そのESRスペクトルを測定することによって被捕捉種の同定を行った。メタン-水系においては、OCH_3ラジカルの存在が明らかになった。この系にアンモニアを添加するとOCH_3ラジカルの外にアミノメチルラジカルも検出された。これらの知見をもとにメタンおよびエタンの光化学反応による活性化機構を明らかにした。
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[Publications] K.Ogura,C.T.Migita,T.Yamada: "Photolysis of the CH_4-NH_3-H_2O Mixture:Formation of Methylamine and Ethylenediamine." J.Photochem.Photobiol.A. 49. 53-61 (1989)
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[Publications] C.T.Migita,S.Chaki,K.Ogura: "ESR Spectroscopic Detection of Methyl Radicals Formed in the Photochemical Gas-Phase Reaction of Methane and Water." J.Phys.Chem.93. 6368-6370 (1989)
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[Publications] 小倉興太郎,右田たい子,山田徹: "光化学反応によるメタン-アンモニア-水系から含窒素化合物の生成" 日化. 817-821 (1989)
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[Publications] 右田たい子,茶木哲,中山雅晴,小倉興太郎: "光化学反応気体中に生成するラジカル中間体検出へのスピントラップ-ESR法の応用" 日化. 1233-1239 (1989)
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[Publications] K.Ogura,C.T.Migita,Y.Ito: "Combined Photochemical and Electrochemical Oxidation of Methane." J.Electrochem.Soc.137. 500-503 (1990)
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[Publications] K.Ogura,C.T.Migita,T.Yamada: "Kinetics of the Photochemical Reactions of Gas Mixtures of Methane and Water,and the Effects of Added Oxygen" J.Photochem.Photobiol.A.
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[Publications] 小倉興太郎: "無機化学概論" 丸善株式会社, 252 (1990)