1989 Fiscal Year Annual Research Report
金属の特性を利用したヘテロ原子多重結合の新しい構築法の開発
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01550663
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
須加 操平 金沢大学, 工学部, 教授 (40019691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千木 昌人 金沢大学, 工学部, 助手 (90135046)
中島 正 金沢大学, 工学部, 教授 (70019735)
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Keywords | ヘテロ原子化学 / ビス(ジメチルアルミニウム)セレンド / セレノアルデヒド / セレノケトン / テルロアルデヒド / セレノアミド / テルロアミド / セレノピラン |
Research Abstract |
近年ヘテロ原子化学の急速な進展に伴い、これらヘテロ元素を含む化合物が有機合成中間体として重要となってきた。しかしながら、このような化合物はその高い反応性と合成の困難さのため、これまで有効な合成法が知られていなかった。本研究ではケイ素及びアルミニウムの酸素原子に対する大きな親和性を利用し、これらヘテロ原子多重結合化合物の新しい合成手段を検討した。 まずケイ素原子の利用として、ビス(トリメチルシリル)セレニド(Me_3Si)_2Se及びヘキサメチルシクロトリシラセレナン(Me_2SiSe)_3をセレン化剤に用い触媒量のn-ブチルリチウム存在下種々のアルデヒドとの反応を1,3-ジエン共存下行うと、対応するセレノアルデヒドとジエンとのDiels-Alder付加体が良好な収率で得られた。しかしながら、この手法では基質及び収率の面でやや問題点があったため、次にルイス酸性によるカルボニル基の活性化という点も考慮に入れ、アルミニウム原子を利用したビス(ジメチルアルミニウム)セレニド(Me_2Al)_2Seをセレン化剤に用いた結果、アルデヒド、ケトン、アミド、さらにアシルシランに対しても極めて有効なセレン化剤として作用することが明らかとなった。この合成法はイオウ及びテルル誘導体の合成に対しても有効であり、極めて一般性のある合成手段を確立することに成功した。しかも、炭素-テルル二重結合化合物の合成に関しては初めての成功例である。また、得られた多重結合化合物はジエン共存下、容易にDiels-Alder反応が進行し、含ヘテロ元素複素環化合物が良好な収率で得られた。さらにセレンを含むこれらの環化付加体をm-CPBAで酸化すると、対応するセレンキシドが生成し、さらにSe-Pummerer転位を経てセレノピラン誘導体に変換することを見い出した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Masahito Segi: "Direct Conversion of Aldehydes to Seleno-and Thioaldehydes" J.Am.Chem.Soc.110. 1976-1978 (1989)
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[Publications] Masahito Segi: "Intramolecular Diels-Alder Reaction of Selenoaldehydes" Tetrahedron Lett.29. 6965-6968 (1988)
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[Publications] Masahito Segi: "Novel Route to Selenoketones from Ketones by the Use of Bis(dimethylaluminum)Selenide" Tetrahedron Lett.30. 2095-2098 (1989)
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[Publications] Masahito Segi: "Intramolecular Diels-Alder Reaction of Thioaldehydes" Synth.Commun.19. 2431-2439 (1989)
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[Publications] Masahito Segi: "Telluroaldehydes and Telluroketones" J.Am.Chem.Soc.111. 8749-8751 (1989)