1989 Fiscal Year Annual Research Report
含金属キノイド系近赤外吸収色素の合成デザインと機能の開拓
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01550676
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
吉田 勝平 高知大学, 理学部, 助教授 (30036595)
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Keywords | 1,2-ナフトキノン / 5,8-キノリンジオン / 近赤外吸収色素 / 金属キレ-ト錯体 / メタロクロミズム性 / 機能性色素 / 金属イオン指示薬 |
Research Abstract |
エレクトロニクス技術と結びついて、近赤外吸収色素が高機能性有機材料として注目されている。本研究では、近赤外領域に強い吸収を示すキノイド系金属錯体色素の合成デザインの完成と得られた色素の機能性を追求することを目的としている。今年度の研究では次の成果を得た。 1.1、2-ナフトキノン-4-スルホン酸ナトリウムと様々なアリルアミン類との反応はNi(II)イオンの存在によって促進され、アミン化物(1__-)、アリル化物(2__-)、およびビニ-ル化物(3__-)を高収率で与えた。これらの生成物はNi(II)、Cu(II)、あるいはCo(II)イオンと容易にキレ-ト錯体を形成し、いずれも近赤外領域に強い吸収を示すことを見い出した。色素配位子(1__-、2__-、および3__-と金属イオンの組み合わせを変化させて錯体成能、吸収スペクトルに及ぼす影響を考察した。(J.C.S.Perkin Trans. 1 1990 印刷中) 2.キノリン-5.8-ジオン(5__-)とP-ジメチルアミノスチレン類(6__-)とのDiels-Alder反応により、異性体の関係にある2種類の色素(7__-および8__-)を得た。金属キレ-ト錯体形成に伴う可視スペクトル変化においては、両異性体間で著しい差が現われた。異性体7__-では可視スペクトル変化が小さいのに対し、異性体8__-では大幅なλmaxの赤色移動とεmaxが著しく増大する変化を示し、近赤外領域に強い吸収を持つに至った。また、8__-は種々の金属イオンと錯体を形成し、いずれの場合にも大きなスペクトル変化を伴うので、金属イオン指示薬としても有用である。関連異性体をさらに合成し、錯形成に伴う変色メカニズムを考察中である。(Bull.Chem.Soc.Jpn.63__-(1990)印刷中).口頭発表:日化九州・中西合同大学予稿集p201(1989)、日化中四大会予稿集p214-215(1989)
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[Publications] Katsuhira YOSHIDA: "The Effect of Metal Chelate Complexation on the Reactivity and Absorption Spectra of 1,2-Naphthoquinones:New Types of Near I.r.Absorbing Metal Complex Dyes" J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1. (1990)
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[Publications] Katsuhira YOSHIDA: "New Near Infrared Absorbing Metal Complex Dyes:Synthesis and Metallochromic Properties of Two Isomeric Ligands,2-(Dimethylamino)naphtho{〔1,2-g〕and〔2,1-g〕}quinoline-7,12-diones" Bull.Chem.Soc.Jpn.,. 63. (1990)