1990 Fiscal Year Annual Research Report
糖質を基質とした高立体選択的クライゼン転位反応の開発および天然物合成への応用
Project/Area Number |
01550680
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
只野 金一 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (20051914)
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Keywords | オルトエステル型クライゼン転位反応 / 光学活性合成素子(キロン) / 1、3ージメチルー2、4ージオ-ル構造 / (+)ーアセトマイシン / 抗腫瘍性抗生物質 / 天然物全合成 |
Research Abstract |
1.アリルアルコ-ル構造を分岐としてもつ糖誘導体のクライゼン転位反応に関する課題については、次の知見を得た。Dーグルコ-スより簡便に得られる3ーデオキシー1、2ー0ーイソプロピリデンー3ーCーメチルーαーDーグルコフラノ-スの側鎖部分をアリルアルコ-ル構造に変換した化合物を調製した。2種の幾何異性体のうちZー型アリルアルコ-ルを基質とした熱的クライゼン転位反応は高立体選択的に進行し(ジアステレオマー比約9:1)、かつ好収率(78%)にて成績体を与えた。主成績体中に新たに導入された不斉炭素原子の立体化学は、数工程を経て得られる誘導体のスペクトル解析により(S)ー配置と決定できた。こうして効率よくDーグルコ-スより得られる転位成績体は、その構造中にマクロリド抗生物質等の天然物の部分骨格である1、3-ジメチル-2、4-ジオル単位を持つことより、これらの天然物合成における有用な合成素子であると考えている。(これらの結果はJ.Carbohydr.Chem.に印刷中)2.顕著な抗菌および抗腫瘍活性をもつ抗性物質(ー)ーアセトマイシンおよび(+)ー5ーエピアセトマイシンの全合成は既に昨年度達成されている。(Tetrahedron Lettersに掲載)これらの薬理学上重要な物質の全合成の出発物質はDーグルコ-ス由来の基質を用いたクライゼン転位反応により容易に得られるが、今年度はその転位反応の副生成物として得られたジアステレオマ-より出発するアセトマイシンの立体異性体の合成を検討した。その結果、(+)ーアセトマイシンの合成と類以の経路にて4ーエピ-および4、5ージエピアセトマイシンの合成を達成することができた。今後は、それらの薬理活性を調ベ活性と構造の相関関係についても検討する予定にしている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Tadano,Kinーichi 只野 金一: "Total Synthesis of(ー)ーAcetomycin" Tetrahedron Letters(PergamonPress,England). 31. 2609-2612 (1990)
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[Publications] Tadano,Kinーichi 只野 金一: "A Route to3,5ーDialkylated Carbohydrates:The Claisen Reararrangement of a 3ーCーMethylated Aldose" Journal of CarbohydrateChemistry(MarcelDekker,Inc,U S.A.). 10. (1991)
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[Publications] Tadano,Kinーichi 只野 金一: "糖誘導体を基質としたクライゼイン転位反応および抗性物質(ー)ーアセトマイシンの全合成" 有機合成化学協会誌(有機合成化学協会). 49. (1991)
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[Publications] Tadano,Kinーichi: "Natural Products Synthesis Starting with Carbohydrates Based on the Claisen Rearrangement Protocol Studies in Natural Products Chemistry Ed.by AttaーurーRahman" EIsevier Science Publishers,The Netherlands, (1991)