1989 Fiscal Year Annual Research Report
主鎖型高分子液晶のスメクチック層構造特性に関する研究
Project/Area Number |
01550688
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡辺 順次 東京工業大学, 工学部, 助教授 (90111666)
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Keywords | ポリエステル / スメクチック液晶 / 層構造 / 光学活性 / 強誘電 / らせん構造 / 高分子液晶 / ビベンゾエイト |
Research Abstract |
ビベンゾエイトをメソゲンとする主鎖型液晶性ポリエステル(BB-n)を合成し、そのスメクチック(S)液晶特性を調べ以下の点を明らかにした。1)nが偶数であるBB-nはSa相を形成する。また分枝メチル基の導入により、Sa相はSc相に変換される。いずれもメソゲン軸と高分子軸はともに平行であり、Sa相ではこれら両軸が層に垂直に、Sc相では層に傾いて配向した層構造を持つ。基本的には、低分子を直鎖状に連結した時に期待される層構造を持ち、低分子系SaやSc相と同じ構造特性を有する。光学活性体を用いれば、Sc相はキラルSc^*相に変換される。らせん構造や強誘電特性が観測されることはまた、低分子キラルSc^*と相と類似することも明らかにされた。 2)nが奇数であるBB-nは、メソゲンのチルト方位が隣接層間で相互に反転したSc_2相を形成する。その直接的な証左はホメオトロピック配向試料のオルソスコ-プ像の観測から与えられた。このSc_2相にも光学活性基の導入によりらせんが誘起され、キラルSc_2^*相に変化できる。ただしこの場合、メソゲンは隣接層間で逆向きに傾いているため、全体としてπだけ位相のずれた二つのらせんがからみあった構造となる。斜入射による光の特性反射に通常のキラルSc^*相であらわれるフルピッチバンドが、このキラルSc_2^*相では現れないことを確認してこのモデルの妥当性を裏付けた。また対称要素の考察から、このキラルSc_2^*相は反強誘電性であることが期待される。
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