1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01550693
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
根本 紀夫 京都大学, 化学研究所, 助教授 (90027053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 邦宏 京都大学, 化学研究所, 教授 (00027046)
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Keywords | 自己拡散係数 / 相互拡散係数 / 界面活性剤 / 棒状ミセル / 非トポロジカル網目 / セチルトリメチルアンモニウム臭素塩 / サリチル酸ナトリウム塩 / パルミチン酸アルミニウム |
Research Abstract |
本研究は、界面活性剤が水溶液中において形成する棒状ミセル並びにゲル網目のダイナミックスを、動的光散乱(DLS)及び強制レイリ-散乱(FRS)法により明らかにすることを目的としたものであり、以下に述べるように当初の研究実施計画をほぼ達成することができた。 1.セチルトリメチルアンモニウム臭素塩/サリチル酸ナトリウム塩(CTAB/NaSal)水溶液系について、CTABの自己拡散係数DsをFRS法を用い、CTAB濃度Co及びNaSa 濃度Csの関数として測定した。Co/Cs=1で,DsはC<0.02Mでは一定値を取るが、Co増加と共にDsは増加し、Cl=0.2Mで極大値を取った後減少するという、濃度増加につれOsが単調減少する高分子のゲル網目中での拡散とは全く異なった特異な挙動を示した。同様の極大現象がC_Dを一定としCs/Coを変化させたときのDsにも見出された。又特に強調しておきたいことは、CTABは低分子物質であるにもかかわらず、Osは10^<-9>cm^2S^<-1>のオ-ダ-の小さな値を低C_Dでとることである。以上のDs挙動はこれまでの粘弾性結果と矛盾せず、非トポロジカル網目中での拡散に関して初めて得られた研究成果である。一方KBr中では上のような特異な挙動は見られず、DsはCo、Csの単調減少関数である。Cs=一定の条件下ではDs〓Co^<-2>が見出された。 2.パルミチン酸アルミニウム(PAAl)のトルエン溶液に対し、DLS及び粘度測定を行い相互拡散係数Dm及び粘度ηをPAAlに濃度C_Dの関数として求めた。低濃度域ではDmはCo増加と共に一旦減少しCo〜1%で極小値をとった後再び増加した。CD=1%はηが急激に増加し始める濃度に対応し、Co>1%ではDm〓C^<0.5>ベキ則が成立する。この結果は、PAAlが濃度増加と共に単純ミセルから棒状ミサル更にゲルへと構造変化していくと考えることにより定性的に説明できる。
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[Publications] Norio Nemoto: "Self-Diffusion and Tracer-Diffusion Coefficient and Viscosity of Concentrated Solutions of Linecr Polystyrenes in Dibutylphthalate" Macromolecules. 22. 3793-3798 (1989)
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[Publications] Norio Nemoto: "Tracer Diffusion of Linear Polystyrenes in Entaglement Networks" Macromolecules. 23. 659-664 (1990)
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[Publications] Yoshisuke Tsunashima: "Time-Division Intergrated Light Scattering Photometer 1.Its Construction and Performance" Bull.Inst.Chem.Res.,Kyoto Univ.67. 54-67 (1989)
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[Publications] 根本紀夫: "からみ合い網目中での高分子の拡散" 日本ゴム協会誌. 63. 18-28 (1990)