1989 Fiscal Year Annual Research Report
N-置換ポルフィリンの金属錯体を重合開始剤とする分子量のそろった含イオウ高分子の合成
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01550709
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
相田 卓三 東京大学, 工学部, 講師 (00167769)
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Keywords | 金属ポルフィリン錯体 / 亜鉛ポルフィリン錯体 / N-置換ポルフィリン / ポリチオエ-テル / エピサルファイド / プロピレンサルファイド / リビング重合 |
Research Abstract |
高分子の基本的な性質は「分子量」できまる。酵素や遺伝子のような特異機能を有する生体高分子は,ある特定の定まった分子量を有しており,分子量に関するばらつきは全く存在しない。そして,そのことがそれなの特異的機能の発現と密接に関係していることは言うまでもない。これに対して,合成高分子の分子量は一般に不ぞろいであり,この意味において性質の不均一な分子の混合物である。このことは,生体高分子のように高度な機能を有する高分子材料を設定する上において極めて重大な問題であるといえる。 本研究は,機能性材料として期待される含イオウ高分子を分子量のそろった形で合成することを目的としており,本年度は特に三員環チオエ-テルであるエピサルファイドの開環重合によるポリチオエ-テルの合成を試みたところ,N-置換ポルフィリンの亜鉛錯体が優れた重合開始剤となり,分子量のそろったポリチオエ-テルを合成することに成功した。この際,ポリチオエ-テルの分子量は,モノマ-であるエピサルファイドと開始剤の仕込みモル比で制御できることがわかった。また,NMRによる検討から,重合反応が,錯体の中心金属とアキシャル基の間にモノマ-が挿入する形で進行することもわかった。 【chemical formula】
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[Publications] 相田卓三,川口健一,井上祥平: "Zinc N-Substituted Porphyrins as Novel Initiators for the Living and Immortal Polymerizations of Episulfide." Macromolecnles. 23. (1990)
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[Publications] 井上祥平,相田卓: "New Methods for Polymer Synthesis" Plenum Publishing, (1990)