1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01550745
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宗像 健 九州大学, 工学部, 教授 (00037714)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 克美 九州大学, 工学部, 助手 (80038108)
宮崎 則幸 九州大学, 工学部, 助教授 (10166150)
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Keywords | 脱水蒸留 / 蒸留効率 / 炭化水素ー水系 / 気液平衡関係 / 気液接触効果 |
Research Abstract |
本研究の目的は炭化水素ー水系の脱水蒸留の効率が著しく低いといわれる理由を明らかにすることで、今年度の研究実績を以下に述べる。 1.気液平衡関係の測定と検討 前年度作製した装置の分液器を検討改善し、また分析操作の能率化を図り、ベンゼンー水、ヘキサンー水、トルエンー水の三種の系について広い濃度範囲の気液平衡関係を実測した。気液平衡比の値は、水濃度の低い領域での飯野らの測定値の2〜5倍を示したが、修正UNIFAC式による推算値とはかなりよい一致を示した。 2.充填塔による蒸留実験と考察 前年度のベンゼンー水、トルエンー水系に引き続いてヘキサンー水系で蒸留実験を行った。この充填塔は、典型的な炭化水素同志の混合物であるヘプタンートルエン系に対してはHETPが2〜4cmなる高性能を示したが、三種の炭化水素ー水系に対しては30〜40cmとなり、著しく蒸留効率が劣る結果となった。その理由として蒸留塔内の物質移動過程に何らかの付加抵抗が存在するのではないかと考え、その所在を確かめる目的で、次の単一段からなる段塔による実験を計画した。すなわち、気相液相間の状態変化の過程に付加抵抗が存在するとすれば、触媒作用が期待できる活性化物質を段の内部に装填することにより、その抵抗を減らすことはできないかと考えた。 3.単一段からなる段塔による蒸留実験と考察 まず、活性化物質をとくに装填せずに蒸留実験を行ったところ、水の濃度が比較的高い領域では、ヘプタンートルエン系と同程度(約70%)の高い段効率を与えたが、低濃度領域では段効率が著しく低下した。これは、2で得られた気液平衡関係を用いた結果であり、もし低濃度領域で気液平衡比が激域するならば効率の低下とはいえないことになる。すなわち、上述の付加的な物質移動抵抗を想定する以前の問題点として、水の低濃度領域における気液平衡関係をより注意深く測定する必要があると考えている。
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[Publications] 宗像 健: "炭化水素中の溶解微量水分除去のための蒸留効率について" 分離技術. 19. 237-242 (1989)
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[Publications] 分離科学ハンドブック編集委員会編 宗像 健(分担執筆): "「分離科学ハンドブック」,V部「分離例」の5章「不純物除去,微量成分分離による精製」のうち5.3「微量水分の除去」" 共立出版(株), 2 (1991)