1989 Fiscal Year Annual Research Report
サブユニット間相互作用の強化によるグルコ-ス脱水素酵素の耐熱化
Project/Area Number |
01550762
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
卜部 格 大阪大学, 工学部, 助教授 (60029246)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 弘輔 大阪大学, 工学部, 教授 (20028947)
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Keywords | グルコ-ス脱水素酵素 / 耐熱化変異 / サブユニット間相互作用 / アミノ酸置換 |
Research Abstract |
グルコ-ス脱水素酵素を含む1本鎖DNAを調製し,ギ酸,亜硝酸,ヒドラジンで変異処理を行った後,逆転写酵素を用いてこれを2本鎖DNAとし,大腸菌内で発現させた。変異を持つ酵素を50mMリン酸緩衝液(pH6.5)中で、60℃、20分間熱処理し、酵素活性を持つコロニ-を選択した。野生型酵素は、熱処理をする緩衝液中に2M塩化ナトリウムが存在すると,60℃,20分間の熱処理でも失活しないが,塩化ナトリウムを添加しない場合には活性を失った。 スクリ-ニングの結果得られた12株の陽性コロニ-を培養後,粗酵素液を調製して50mMリン酸緩衡液中での熱安定性を調べたところ,すべての変異型酵素は,50℃異常で野性型酵素よりも安定があり,変異型酵素の熱安定化のパタ-ンは大きく3つに分けることができた。 変異型酵素遺伝子の塩基配列を決定したところ,同じ塩基置換を有するものが認められ,これら重複したものを除くと,変異型遺伝子は8種類であった。アミノ酸置換は,96ー133番の中央領域,183ー258番のC末端領域で認められたが,N末端領域にはアミノ酸置換は存在していなかった。得られた変異型酵素遺伝子中での塩基置換の分布,さらにアイソガイム間のアミノ酸,ならびにDNA配列における置換の分布を調べたところ,変異型酵素でN末端側領域においてアミノ酸置換が認められないのは,1アミノ酸置換で熱安定性を上昇させるのは,この領域での変異では不可能なのであろうことが考えられた。塩基配列から推定されるアミノ酸配列を野性型酵素の配列と比較すると,変異型酵素は1から4アミノ酸置換を持っていた。1アミノ酸置換を持つ酵素は4つあり,置換の生じた位置は,96番目のGlu,252番目のGln,および253番目のThyで,これら3つのアミノ酸残基は,グルコ-ス脱水素酵素の安定性に関与していると結論した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Toshihiro Nagano: "Stabilityーincreasing mutants of glucose dehydrogenase" FEBS LETTERS. 253. 113-116 (1989)
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[Publications] Yasutaka Makino: "Stabilityーincreasing Mutants of Glucose Dehydrogenase from Bacillus megaterium IWG3" The Journal of Biological Chemistry. 264. 6381-6385 (1989)