1990 Fiscal Year Annual Research Report
サブユニット間相互作用の強化によるグルコ-ス脱水素酵素の耐熱化
Project/Area Number |
01550762
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
卜部 格 大阪大学, 工学部, 助教授 (60029246)
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Keywords | グルコ-ス脱水素酵素 / 熱安定化 / 人工突然変異 / サブユニット間相互作用 / アミノ酸置換 |
Research Abstract |
グルコ-ス脱水素酵素は、同一のプロトマ-から成る四量体を形成しており、NAD(P)を補酵素として、グルコ-スからグルコノラクトンへの酸化反応を触媒する。本酵素は、B.subtilis,B.megateriumなどで胞子形成時に特異的に生産されることから、原核生物の細胞分化時における遺伝子の発現制御、あるいは、胞子内での生理的役割について研究されている。また、本酵素は、アルカリ溶液中、あるいは低イオン強度下で可逆的にプロトマ-に解離することから、オリゴマ-蛋白質の解離、会合の性質について調べるためのモデルになっている。変異型酵素の安定化とアミノ酸置換との関係について調べるため、1アミノ酸置換を持つ4つの変異型酵素(E96A,E96G,Q251L,Y253C)を精製し、変異型酵素の性質について検討した。 精製した4つの変異型酵素、ならびに野生型酵素のpH6.5での熱安定性を比較したところY253C,Q252L,E96G,E96Aの順に高くなっていた。特に、E96Aでは野生型酵素よりも約20℃も安定性が増していた。 変異型酵素のpH安定性を調べたところ、アルカリ溶液中で、程度の差はあるものの、いずれの酵素も野生型酵素よりも安定であったことから、これらの変異型酵素では、各アミノ酸置換により、サブユニット間相互作用が強化され、サブユニット構造が安定化していると結論した。したがって、1アミノ酸置換が生じていた3つのアミノ酸残基は、サブユニット境界面に存在する可能性が高いと思われる。
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Research Products
(1 results)