1990 Fiscal Year Annual Research Report
ノカルディア属放線菌細胞表層物質によるバクテリア細胞凝集機構
Project/Area Number |
01550764
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
小泉 淳一 島根大学, 農学部, 助教授 (00150334)
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Keywords | バクテリア細胞凝集 / タンパク性バイオフロキュラント / ノカルディアアマラエ / 細胞外物質 / 協同的凝集 |
Research Abstract |
グラム陽性桿菌である放線菌,Nocardia amarae YK1が他のバクテリア細胞の凝集を誘導する物質を産生していることを発見し,その物質をFIXと名付けた。FIXは増殖状態にある細胞を凝集させる機能を有していた。しかしその能力は,休止細胞においては見られなくなった。 FIXの凝集誘導は,グラム陽性からグラム陰性までの広い範囲のバクテリアに対して働く,作用スペクトルの広いものであった。FIXが存在するとき,Achromobacter cycloclastus IAM1013,Acinetobacter calcoaceticus IAM1517,Bacillus subtilis IAM1069,Escherichia coli C600ー1,E.coli IAM1239,Flavobacterium lutescens IAM1667,Klebsiella pneumoniae IAM1102,Micrococcus luteus IAM1313そしてPseudomonas putida IAM1002はそれぞれのフロックを形成した。しかし,B.cereus IAM1029はフロック形成を示さなかった。 発見したバイオフロキュラントFIXを分画したところ,このフロキュラントは少なくとも3つの物質の混合物であることが判明した。個々のフラクション単独では,pH5から7の間で凝集を起こす能力は見られないが,それらを混合するとpH7において,協同作用による凝集が観察された。赤外分光光度デ-タから,各フラクションの主成分はペプチドである可能性が示唆された。ペプチド骨格をタンパク分解酵素により分解すると,凝集活性は失われた。発見したFIXは,これまでに報告のないタンパク質バイオフロキュラントであると結論できた。
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[Publications] 小泉 淳一: "細胞外バイオポリマ-の機能と利用ーバイオフロキュラントとバイオサ-ファクタント" 微生物. 5. 545-551 (1989)
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[Publications] 小泉 淳一・武田 穣: "Nocardia amaraeの産生する複数の凝集関与物質とそれらの協同作業によるフロック形成" 水質汚濁研究. 13. 288-292 (1990)
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[Publications] 戸田 清ら: "細胞外バイオポリマ-の機能と利用" 醗酵工学会誌. 68. 301-318 (1990)