1989 Fiscal Year Annual Research Report
氷核活性細菌から菌体外氷核活性物質の製造方法と応用に関する研究
Project/Area Number |
01550766
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
小幡 斉 関西大学, 工学部, 教授 (00067646)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳山 泰 関西大学, 工学部, 教授 (60067519)
長谷川 嘉衛 関西大学, 工学部, 専任講師 (30156327)
谷下 準一 関西大学, 工学部, 専任講師 (50067584)
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Keywords | 氷核活性細胞 / Erwinia.uredovora / 氷核活性物質 / 小胞状 / 氷核活性部位 / 変性剤 / タンパク質修飾剤 |
Research Abstract |
本年度は、当研究室で分離した氷核活性細菌(E.uredovora KUIN-3)を用いて研究を行なった。この菌株KUIN-3の特徴は、菌体外に氷核活性物質を分泌することである。そこで、まず、菌株KUIN-3から菌体外に多くの氷核活性物質を分泌させる最適培養条件を調べた。その結果、培養液としては、1l中に酵母エキス(30g)、ショ糖(10g)、セリン(2g)アラニン(2g)、K_2SO_4(8.6g)、MgSO_4・7H_2O(1.4g)を添加し、pHを7.2に調整したものが、多くの菌体外氷核活性物質を菌株KUIN-3から分泌させることができた。そこで、培養液から菌体外氷核活性物質の分離を試みた結果、培養液を遠心分離(20,000xg)、限外ろ過(100.000NMWL)、ゲルろ過クロマト分析(HW-65F)を行うことによって乳濁したコロイド状の氷核活性物質が得られた。その物質を電子顕微鏡で調べた結果、直径28nm〜67nmの球状小胞状の氷核活性物質が単離されていることがわかった。その氷核活性物質の諸性質を調べるために、熱安定性とpHの安定性について調べた。すなわち、熱安定性は、小胞状の氷核活性物質の懸濁液を40^。Cで30分間処理した結果、氷核活性は著しく低下することがわかった。また、pHの影響について調べた結果、氷核活性物質はpH4より酸性側で氷核活性の低下が認められた。つぎに、菌体外氷核活性物質をタンパク質編成剤、修飾剤、そして酵素類などで処理した結果、編成剤である尿素、エタノ-ルまたは修飾剤のN-ブロモサクシイミドなどによって氷核活性が著しく低下した。サ-モリシンで氷核活性物質を処理した結果、氷核活性が著しく低下し、氷核活性物質の氷核活性部位には、タンパク質が関与していることがわかり、SDS電気泳動の結果から、いくかのサブユニットから水困核活性物質が構成されていることが明らかになった。その小胞状の氷核活性物質の構成成分として糖類、脂質、タンパク質から構成されていた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Hitoshi OBATA: "ldentification of an lce-nucleating Bacterium and Its lce Nucleation Properties" Journal of Fermentation and Bioengineering. 67. 143-147 (1989)
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[Publications] 小幡斉: "氷核活性細菌の食品への応用の可能性" 食品加工技術. 9. 187-192 (1989)
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[Publications] 小幡斉: "氷核活性細菌の有効利用" フ-ドケミカル. 35-40 (1990)
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[Publications] Hitoshi OBATA: "ldentification of a New lce-nucleating Bacterium and lts lce Nucleation Properties" Agricultural and Biological Chemistry. (1990)
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[Publications] Hitoshi OBATA: "Release of Cell-Fre lce Nuclei from Pseudomonas Viridiflava Membrane with Triton x-100/EDTA system and lts lce Nucleation Properties" Journal of Fermentation and Bioengineering. (1990)
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[Publications] Hitoshi OBATA: "Production of Extra cellular lce-Nucleating substance by Erwinia uredvora KUIN-3 Under Bacth Growth" Agricultural and Biological Chemistry. (1990)
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[Publications] 上井久義: "なにわの水" 玄分社(京都), 42 (1989)
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[Publications] 木村光: "食料科学バイオテクノロジ-" 培風館, 12 (1989)