1990 Fiscal Year Annual Research Report
イネにおける脱粒性遺伝子と半矮性遺伝子の連鎖分析および脱粒性の発現機構
Project/Area Number |
01560002
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
菊池 文雄 筑波大学, 農林学系, 教授 (30161425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生井 兵治 筑波大学, 農林学系, 助教授 (80015677)
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Keywords | イネ / Oryza sativa L. / 脱粒性遺伝子 / 半矮性遺伝子 / 連鎖 |
Research Abstract |
中国におけるイネ半矮性品種の代表的母本である矮脚南特が示す半矮性と脱粒易に関する遺伝子分析を行った。実験には、わが国の水稲品種農林29号と,その遺伝的背景に矮脚南時および台中在来1号の半矮性遺伝子をそれぞれ導入した半矮性準同質遺伝子系統SCーAJNTおよびSCーTNIを用いた。SCーAJNTは脱粒易を示したが,農林29号とSCーTNIはともに脱粒難であった。また,SCーTNIは低脚烏尖の半矮性遺伝子sdー1を持つことが明らかにされている系統である。 SCーAJNTと農林29号を交雑した結果,矮脚南特の示す半矮性は単一劣性の半矮性遺伝子に支配されることがわかった。次に,SCーAJNTと半矮性遺伝子sdー1を持つSCーTNIとを交雑したところ,その雑種はすべて半矮性を示し,矮脚南特は半矮性遺伝子sdー1を持つことが明らかになった。脱粒性に関しては,SCーAJNTと農林29号,SCーAJNTとSCーTNIの雑種から,SCーAJNTの脱粒易は矮脚南特に由来する単一劣性の脱粒性遺伝子に支配されることが明らかになった。また,SCーAJNTと農林29号の雑種F_2,BC,集団における脱粒性と稈長の分離比から,矮脚南特に由来する脱粒性遺伝子は半矮性遺伝子sdー1と13.7±4.6%の組換価で連鎖することがわかった。 前年度の実験で明らかにしたように中国在来品種低脚烏尖,日本在来品種十石においても半矮性遺伝子sdー1と脱粒性遺伝子との連鎖が見出された。このことは,この脱粒性遺伝子がかなり多くの半矮性品種に存在することを示唆する。この新たに見出された脱粒性遺伝子座にshー2の記号を与えた。
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