1989 Fiscal Year Annual Research Report
コムギ・エギロプス属における細胞質オルガネラの機能解析
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01560005
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中村 千春 神戸大学, 農学部, 助教授 (10144601)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 昌信 神戸大学, 農学部, 助手 (40031190)
小野 一 神戸大学, 農学部, 教授 (40031166)
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Keywords | 核細胞質雑種 / 細胞質変異 / 光合成 / 呼吸 / テロ染色体 / コムギ / エギロプス / アグロパイロン |
Research Abstract |
1.コムギ・エギロプス属細胞質の光合成系と呼吸系における遺伝的変異 パンコムギの一品種チャイニ-ズスプリング(CS)を核親にコムギ・エギロプス属17種を細胞質親にした核細胞質雑種の光合成活性と呼吸活性を安定同位体^<13>Cを用いた赤外分光光度形により測定した。(1)固体当たりの乾物重と炭素量は細胞質問で有意に異なったが、単位乾物重当りの炭素量には有意差がなかった。(2)単位乾物重・時間当りの新規光合成量は全ての細胞質で核親のCS細胞質より高く、固体当りの乾物重との間に負の相関が認められた(r=-0.58)。(3)呼吸による新規固定炭素の単位乾物重・時間当りの消費量も全ての細胞質でCS細胞質より高く、郷土の雄性不稔を引き起こす4種の細胞質(A,C,Mt^2,M型)で特に高かった。以上の結果は、コムギ・エギロプス属の細胞質間に光合成系と呼吸系に関わる有意な遺伝的変異が存在するとを示す。 2.パンコムギ・アグロパイロン核細胞質雑種の光合成と呼吸に及ぼすアグロパイロン由来テロ染色体の効果 パンコムギ核とアグロパイロン細胞質を持つ核細胞質雑種は郷土の成育阻害と雄性不稔を示すが。アグロパイロン由来のテロ染色体は雑種の成育阻害を補償し雄性稔性を回復する。光合成と呼吸に及ぼすテロ染色体の効果を調べた。(1)細胞質親由来のテロ染色体は核細胞質雑種の固体当りおよび乾物重当りの光合成量を大幅に増加させた。(2)呼吸による新規固定炭素の乾物重当り消費量はテロ染色体により有意に減少した。(3)テロ染色体は緑葉の呼吸を減少させ、根の呼吸を増加させた。以上の結果は、細胞質親由来のテロ染色体が雑種の光合成系と呼吸系に見られる核細胞質間の不調和を回復する機能を持つことを示唆する。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] C.Nakamura: "Genetic diversity in cytoplasms of Triticum and Aegilops species revealed by infrared photometric determination of photosynthesis and respiration" Japanese J.Genetics.
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[Publications] C.Nakamura: "Restoration of photosynthesis and respiration in nucleoーcytoplasmic hybrids between Triticum aestivum and Agropyron species by Agropyronーderived telocentric chromosomes" Japanese J.Genetics.