1991 Fiscal Year Annual Research Report
シイタケの子実体発生温度型に関与する遺伝因子の解析
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01560011
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Research Institution | The Japan Kinoko Research Center Foundation |
Principal Investigator |
有田 郁夫 (財)日本きのこセンター, 菌蕈研究所, 部長 (50088845)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷部 公三郎 (財)日本きのこセンター, 菌蕈研究所, 室長代理 (10124330)
大平 郁男 (財)日本きのこセンター, 菌蕈研究所, 室長 (10088841)
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Keywords | シイタケ / 担子菌類 / 発生温度型 / 遺伝分析 / 標識遺伝子 / 高温型因子 / 連鎖 |
Research Abstract |
シイタケの子実体発生温度型(発生型)の遺伝様式の解明を目的として,本年度は,ほだ木栽培(自然環境)における子実体発生時期を木粉培養(制御環境)における発生型(昨年報告)と対比して検討した。 (1)交雑F_1の分析:発生温度型テスタ-(ー核菌糸体)同志,連鎖分析のための標識遺伝子テスタ-(ー核菌糸体)同志,及び両テスタ-間の交雑F_1の発生型を調査した。その結果,供試テスタ-は,ほだ木栽培における発生型に関して,次の三つの型に類別できた。i)H型:この型の一核菌糸体を片親にもつ交雑F_1は高温型を示す。ii)M型:この型の一核菌糸体を片親にもつ交雑F_1は、H型の交雑F_1を除き中温型を示す。iii)L型:この型の一核菌糸体同志の交雑F_1は低温型を示す。 (2)次代分析:低温型を示したL型テスタ-同志の交雑F_1から分離した単胞子(一核)菌糸体を用いて,次代分析を行った。その結果,[交雑F_1の単胞子菌糸体]+[L型テスタ-]の交雑株は,97株全てが12〜翌5月に子実体を発生する低温型を示した。また,[同単胞子菌糸体]×[M型テスタ-]の交雑株は,全株(200株)が9〜翌5月に,内17%(34株)が6〜8月にも子実体を発生した。但し,夏期の発生子実体数は極めて少なく,これらを含め全株を中温型と判定した。 以上の結果,シイタケの発生温度型は,高温型>中温型>低温型なる遺伝的優劣関係にあること,及び低温型を示す菌株は発生温度型に関してホモ接合体であることが判明した。子実体発生の時期と温度に関して,ほだ木栽培と木粉培養における結果が,一部において必ずしも一致しなかったが,ほだ木栽培における高温型(6〜8月発生)は,ほとんど例外なく木粉培養の高温区(20℃)において子実体を発生しており,今後,木粉培養によって,ほだ木栽培における高温型の遺伝分析及び選抜(育種)を行うことが可能であると推察した。
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[Publications] 長谷部 公三郎,有田 郁夫,時本 景亮,大平 郁男: "シイタケのほだ木栽培における子実体発生型の遺伝" 菌蕈研究所研究報告. 28号. 317-323 (1990)
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[Publications] 有田 郁夫,長谷部 公三郎,大平 郁男: "シイタケ子実体発生温度型に関与する遺伝因子の解析" 日本菌学会報.