1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01560017
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
今木 正 島根大学, 農学部, 教授 (60032562)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小葉田 亨 島根大学, 農学部, 助教授 (60186723)
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Keywords | イグサ / 個体群光合成・呼吸速度 / 作物の生育診断 |
Research Abstract |
イグサは、その収穫適期が7月中、下旬とされている。この収穫適期の判定についての理論的裏付けは、未だ明確ではない。イグサ個体群の生育を調査したところ、7月になると地際の相対照度は5%以下となり殆ど変化せず、茎数、最長茎長の変化も極めて僅かであった。この観察結果から、この時期の生育状態は物質生産的にはCeiling Yieldと呼ばれる状態でないかと考えた。そこで、ポット栽植したイグサで模擬個体群を形成し、5月中旬から8月下旬まで約2週間の間隔で個体群光合成と呼吸速度の日内経時変化を屋外で測定した。測定は温度制御の可能な半閉鎖型のアクリル樹脂型同化箱を用いて通気法で行った。同化箱の入口と出口の空気中のCO_2濃度は赤外線ガス分析器で検出した。光合成呼吸の測定中は、気温、日射量の動きも記録した。本年は、各生育段階毎に3分間隔の測定結果をパ-ソナルコンピュ-タ-にインプットし、生育時期毎の個体群光合成の光一光合成反応曲線(気温固定)を計算させた。その結果、SAI(Stem Surface Area Index)が10以上になると光一光合成反応曲線は不飽和型に近付くこと、日中の最大の光強度下(1_゚5 ly)での見かけの光合成速度は6月上旬のSAI13-15の時期に最高約8gCO_2/m^2/hrとなり、以後次第に値は低下することが明らかになった。また、個体群の呼吸速度を各生育段階毎に2段階の気温で測定した結果から、一日の純生産速度を概算した。個体群の呼吸は生育が進むにつれて大きくなるため、6月中旬頃に最大となり、7月下旬には3gCO_2/m^2/dayとなった。この結果から、当初予測した収穫期の生育状態はCeiling Yieldに近いという仮定をほぼ実証できた。次年度は、呼吸の温度反応を、測定温度を広げて、地下部の呼吸量を溶存酸素計で、それぞれ生育時期毎に測定する。そして本年度の結果と併せて生育時期毎に日射量、気温が異なる場合の純生産速度をシュミレ-ションする。
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