1989 Fiscal Year Annual Research Report
チャイブとアサツキの核型及びアイソザイムの分析による種内変異と系統類縁関係の究明
Project/Area Number |
01560023
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
稲田 委久子 岩手大学, 農学部, 助手 (90110650)
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Keywords | Allium schoenoprasum L. / C-バンド法 / 核型分析 / アイソザイム分析 / 分染パタ-ン / 系統類縁関係 / アサツキ / チャイブ |
Research Abstract |
チャイブとアサツキの系統類縁関係と、特にアサツキき系統間変異を明らかにする目的で実験を行い、次の成果が得られた。1.アサツキは既存の21系統に加えて新たに16系統を収集し、既存のチャイブ4品種と共に供試植物とした。2.細胞学的観察(1)染色体数と核型の調査を行った結果、アサツキについては29系統は2n=16=14V+2J(2倍体)、8系統は2n=24=21V+3J(3倍体)であり、1地域で採集した自生個体中には2n=16+1Bの個体が含まれた。チャイブはいすれも2n=16=14V+2J(2倍体)であった。なお、J型染色体の付随体は系統又は個体間で有無と形態に変異が認められた。(2)アサツキの18系統(2倍体12系統、3倍体6系統)とチレイブ3品種9個体について、ギムザ分染法による核型の分析を行った。その結果、アサツキの2倍体の各系統では小型のV型染色体4対8本が介在部に染色部分を有してそれぞれ識別され、その分染パタ-ンには系統椎だで明瞭に異なる2種類が観察された。本実験の範囲では、この2種類の分染パタ-ンを示した系統間には分けつ性及び草丈(花器を観察できた一部の個体では花器も含む)の形態上の特性と収集地に差異が認められた。3倍体では2倍体と同様に小型のV型染色体12本が識別され、その分染パタ-ンについては系統間の差異はみられなかった。チャイブでは介在部と端部の染色部分により、小型のV型染色体の最高8本を交互に識別することが可能となった。しかし、品種間又は個体間で異なる分染像を示す染色体が多く、アサツキに比べて核型の変異の大きいことが伺われた。3.アイソザイム分析 アサツキとチャイブの一部の系統及び個体について、成葉のパ-オキシダ-ゼ・アイソザイム分析を行った結果、出現した3本のバンド中、2本は両植物のそれぞれに特有であり、これらの濃度と他の1本のバンドの有無又は濃度に両植物の系統間又は個体間では差異が観察された。
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