1990 Fiscal Year Annual Research Report
散布薬剤が果樹葉の光合成,蒸散及び葉肉組織に及ぼす影響
Project/Area Number |
01560029
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
熊代 克巳 信州大学, 農学部, 教授 (40021042)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
建石 繁明 信州大学, 農学部, 教授 (80021070)
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Keywords | 農薬散布 / 光合成速度 / 蒸散速度 / 気孔拡散伝導度 / ジベレリン生合成抑制剤 / 収穫前落果防止剤 / 蛍光反応 / 開口気孔 |
Research Abstract |
1.前年度の試験結果から,SADH(ビ-ナイン)が葉の純光合成速度(Pn),蒸散速度(Tr)及び気孔拡散伝導度(Gs)を抑制する効果がかなり強いことが判明したので,ビ-ナインと同様にジベレリンの生合成阻害作用を有するといわれている殺菌剤,サプロ-ル水和剤,バイレトンAN水和剤,ルビゲン水和剤及びトリフミン水和剤を,リンゴ及びナシの葉に散布してPn,Tr及びGsに及ぼす影響を調べた。その結果,各薬剤とも,散布直後からPn,Tr及びGsを抑制し,とくにGsに対する抑制効果が大きかった。抑制の持続期間はほぼ2〜3日間で,ビ-ナインに比べると短かかった。 2.リンゴの収穫前落果防止のために散布する合成オ-キシン剤(商品名ストッポ-ル及びマデック)も,葉のPn,Tr及びGsを抑制する作用を示した。しかし,抑制程度及び持続期間は,ビ-ナインに比べると小さかった。 3.ナシの葉を各種展着剤に浸漬した後,落射蛍光顕微鏡(RFM)で観察したところ,気孔部に自己蛍光を発するものが多数認められ,浸透性が強いと思われる展着剤ほど顕著であった。しかし,浸漬の1日後には,蛍光はまったく認められなかった。この傾向は,展着剤散布直後のPn,Tr及びGsの低下傾向とよく一致していた。 4.ナシの葉に4ー12式ボルド-液を散布したところ,肉眼的に薬害は認められなかったが,夜間でも開口したままの気孔が散見された。開口気孔からは,とくに多量の散布薬剤が浸透することがRMFで観察され,薬害の誘発に結びつくのではないかと懸念された。ただし,4ー12式ボルド-液の散布によるPn,Tr及びGsへの影響は軽微であった。
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