1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01560036
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大久保 敬 九州大学, 農学部, 助手 (80150506)
|
Keywords | ユリ属植物 / 休眠 / 植物ホルモン |
Research Abstract |
日本国内において、南は沖縄から北は北海道まで幅広く分布するユリ属植物のうち、原産地を異にするユリ属6種、休眠が最も浅く沖縄から奄美にかけて自生するテッポウユリ、やや休眠が深いと思われるトサヒメユリ、カノコユリ、ヤマユリ、オニユリ及びかなり休眠が深いと考えられるオトメユリを1989年秋から入手次第順次露地圃場に植え付け、鱗片挿しと植物ホルモンの抽出、検定を開始した。一方、テッポウユリを用いて別に行った実験において、鱗片挿しの方法並びに植物ホルモンの検定方法の検討と、光と休眠との関係について検討した。その結果、本方法を用いることによって、鱗片挿しによる一定温度ならびに光条件下において、鱗片からの出葉反応が季節によって異なり、休眠の様相を簡便かつ確実に掌握でき、また従来から行ってきた生物検定及び高速液体クロマトグラフィ-による植物ホルモンの分析方法に加えて新たに、ELISA法を採用することにより非常に少量の鱗片サンプルでも正確にその含有量ならびに季節的消長が測定でき、ユリ属植物の休眠の実態を把握することが可能なことが明らかになった。さらに、元来休眠が浅いといわれているテッポウユリでは、開花期に休眠に導入されつつある母球の側芽が光を当てることによって伸長開花にいたること、温度もまた二次的ではあるが生育相の転換に関与していること、ならびに植物ホルモンのなかでも特にオ-キシン及びアブシジン酸の消長がこれらの現象を制御しているらしいことが証明された。
|