1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01560038
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
岩堀 修一 鹿児島大学, 農学部, 教授 (00012055)
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Keywords | 細胞内カルシウム検出 / ピロアンチモン酸 / IAA / トリフルオペラジン / ブラシノライド |
Research Abstract |
透過型電子顕微鏡により四季橘の葉のexplantの離層部における細胞内のカルシウム(Ca)を検出するため、グルタ-ルアルデヒド+フォルムアルデヒドの前固定液、オスミウム酸の後固定液の両方にピロアンチモン酸水酸カリウムを加えて標品を固定した。この固定法によっても細胞内の微細構造は良好に保たれた。アンチモンを加えないで固定した標品と比較することによりCaが小粒子として観察されることを見出した。葉のexplantに酢酸カルシウム(CaAc)処理をすると離落が遅延するが、CaAc処理組織の細胞内にはCaが多く検出された。粒子は主にplasmalemmaに沿って検出されたが、一部は細胞質中に見出された。同様に離落を遅延させるインド-ル酢酸(IAA)で処理した細胞の細胞中にはCaAc処理に比べると少ないが、やはり小粒子が観察された。その分布はCaAc処理の場合とは異なり、plasmalemmaにはほとんどなく、細胞質や核の中に見出された。カルモデュリン-カルシウム複合体の阻害剤trifluoperazine(TFP)はう離落を促進するがTFP処理細胞内のCaはごく僅かであった。ブラシノライド(BR)も離落を遅らせるが(後述)、この処理での細胞内の粒子の数は僅かであった。以上の結果は観察標品の数も少なく予備的なものではあるが、離落と細胞内カルシウムの量や分布との間に何らかの関係があることを示唆するものと思われ、今後詳しく調べる予定である。 新しい植物ホルモンと考えられるBRは四季橘の葉と幼果のexplantの離落を著しく抑制し、この効果はIAAよりはるかに高かった。この結果はBRが多くのbioassay系でオ-キシンと似た作用を示すという、従来の知見と一致した。しかし、カルモデュリン-カルシウム複合体の阻害剤であるTFPによる葉のexplantの離落促進作用に対しては、BRはIAAよりかなり弱い抑制効果を示したのみであった。このことは、BRの離落抑制作用がカルモデュリン-カルシウム系とは直接関係していないことを示唆する。
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Research Products
(1 results)