1990 Fiscal Year Annual Research Report
プロテインAー金コロイド法による植物ウイルスの感染・増殖の細胞学的研究
Project/Area Number |
01560048
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
細川 大二郎 東京農工大学, 農学部, 助教授 (50014957)
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Keywords | タバコモザイクウイルス / 30K蛋白貭 / プロトプラスト / プロテインAー金コロイド法 |
Research Abstract |
タバコモザイクウイルス(TMV)のゲノムはプラス鎖RNAであり、これに130K,180K,30K及び外被蛋白貭の4種の蛋白貭がコ-ドされているが、前年度にプロテインAー金コロイド法を用い対て,130K,180K及び外被蛋白貭のタバコプロトプラストにおける局在を経時的に検討したので、本年度はさらに30K蛋白貭について同様の検討を行った。 TMVを接種したタバコプロトプラスでは金粒子の標識は接種後4〜6時間に細胞貭の一部に最初に認められた。標識される金粒子は少数であったが、標識部位は時間の経過とともに増加し、細胞貭に数ケ所認められるようになった。しかし接種24時間以後では金粒子の標識は認められなかった。 一方、アクチノマイシンD(30μg/ml)を処理したプロトプラストでは接種4〜6時間後にもかなりの金粒子の標識が認められ、その後も時間の経過とともに金粒子の数と標識部位が増加した。接種15〜24時間後には多数の金粒子の標識が細胞貭の広い範囲に認められた。この金粒子の標識された部位は電子密度が低くなり内部には細網状構造が認められた。TMV接種後のいずれの時期においても核、プラスチド、ミトコンドリア液胞内及び細胞貭に集積したTMV粒子上には金粒子の標識は認められなかった。 以上の結果,プロトプラストにおけるTMVの30K蛋白貭の合成がアクチノマイシンDで著しく促進されるとするBlumら(1989)の結果が細胞学的にも確認された。また,30K蛋白貭の集積部位には細網状構造が認められたが、この30K蛋白貭は単鎖の核酸と特異的に結合することが認められており、30K蛋白貭はTMVーRNAと結合し、その高次構造を変えることにより、ウイルスの細胞間移行を可能にしているとの示唆もあるので、この細網状構造にTMVーRNAが含まれているか興味がもたれる。
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[Publications] 細川 大二郎: "ブロムモザイクウイルスの3aおよび外被タンパク貭のオオムギ感染細胞における局在" 日本植物病理学会報. 56. 418 (1990)
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[Publications] 細川 大二郎: "タバコモザイクウイルス3aタンパク貭のプロトプラストにおける局在" 平成3年度日本植物病理学会大会発表予定.
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[Publications] Meshi,T.: "Intracellular localization of the 30K protein in tobacco protoplasts infected with tobacco mosaic virus RNA" Virology.