1989 Fiscal Year Annual Research Report
難防除害虫としてのコガネムシ類の総合防除に関する基礎的研究
Project/Area Number |
01560050
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
西垣 定治郎 静岡大学, 農学部, 教授 (30039507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廿日出 正美 静岡大学, 農学部, 助教授 (40091152)
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Keywords | コガネムシ類 / 配偶行動 / 飛翔力 / 飼育法 / 性フェロモン / 昆虫寄生性線虫 |
Research Abstract |
1.マメコガネ、ナガチャコガネの配偶行動を、野外、室内で観察した。前者の雄は寄生植物の雌の体上に飛来し、おおいかぶさった姿勢で直ちに交尾器を雌の体内に挿入し交尾を行う。そして短時間の交尾終了後もその姿勢を長時間保ち続けた。後者も同様に雌上に飛来し交尾を行うが、マメコガネと異なり、雄は雌の体上から降りた後も交尾器のみは挿入を続けた。両者はいずれも、別々の方法で、他の雄との精子競争を行っているのではないかと考えた。2.飛翔測定装置で4種のコガネムシの飛翔力を測定した。その結果、ヒメコガネが最も大きな飛翔力を示し、続いて、オオサカスジコガネ、マメコガネ、チビサクラコガネの順となった。また、雄に比べ雌は一般に飛翔力が劣り、とくにチビサクラコガネでは調査個体の2/3が飛翔筋を持たず、飛翔能力を欠くことがわかった。3.コガネムシ類の室内周年飼育法を検討し、ヒメコガネにおいて確率した。すなわち、暗黒条件下で、1齢幼虫期、25℃、2齢幼虫期、15〜20℃、3齢幼虫期以後25〜27℃で飼育を行うと、野外での発育期間の半分以下の約150日で卵から成虫となった。成虫の人工飼料はアジサイの葉を感想粉末とし、これに各種栄養素を混入した寒天培養基が好適であった。4.各種コガネムシ類の性フェロモンの存在の可能性を検討するため、ナガチャコガネ、ヒメコガネ、ドウガネブイブイの末交尾雌成虫を圃場網室内でトラップに入れ、雄の反応を見たところ、前2種は誘引因されるところが大であったが、ドウコガネブイブイは明らかではなかった。5.昆虫寄生線虫Steinernema feltiaeと有機燐剤2種との混合によるドウガネブイブイ幼虫にたいする圃場試験を行ったところ、十分な殺虫力が認められなかった。その要因として、土壌中における線虫の生存率の低下が著しく、感染性の低下が認められた。今後この点に留意し、検討を要する。
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