1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01560052
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西田 律夫 京都大学, 農学部, 助手 (30135545)
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Keywords | ミカンコミバエ / ウリミバエ / 誘引物質 / フェロモン / アロモン / 昆虫 / 化学生態学 / メチルオイゲノ-ル |
Research Abstract |
1.ミバエ類誘引植物に含まれる活性因子の化学分析 ウリミバエ雄成虫を誘引するDendrobium superbumランの一種の花弁より,その誘引活性成分を抽出した。活性物質の質量分析の結果,分子イオンピ-クm/z164,基準ピ-クm/z107を与える芳香族化合物であり,標品との比較の結果4ー(pーhydroxyphenyl)ー2ーbutanoneと同定した。本物質は雄成虫に対して誘引効果を示すだけでなく,摂食刺激反応も促すことが判明した。一方,シンガポ-ルで採集したミカンコミバエ亜種雄成虫を強く誘引するサトイモ科Spathiphyllum属植物の花房の揮発成分をガスクロマトグラフィ-等により分析した結果,数種の芳香族化合物を検出,そのひとつを3ー(3,4ーdimethoxyphenyl)ー2ーpropenー1ーolと同定することができた。 2.ミバエ雄成虫による誘引成分の虫体内取込み過程の追跡 Dendrobiumラン花弁を摂食したウリミバエの雄成虫の直腸分泌腺には,摂食前個体には認められない揮発成分が検出され,4ー(pーhydroxyーphenyl)ー2ーbutanoneに帰属された。一方,Spathiphillum花上で採集したDacus属ミバエ雄の虫体抽出物中からは,2種のフェニルプロパノイドアルコ-ルと6ーoxoー1ーnonanolを検出し,D.ocipitalisか,その亜種と考えられた。 3.ミバエに取り込まれた植物代謝成分の生態学的機能の解析 ウリミバエの誘引物質cueーlureあるいは4ー(pーhydroxyphenyl)ー2ーbutanoneを摂食した雄個体は,非摂食個体を強く誘引することが判明した。雌存在下で配偶行動を観察した結果,雄ー雄同士の競合に何らかの寄与をしていることを示唆した。
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[Publications] 西田 律夫: "昆虫ー植物間相互作用に関与する化学因子" 日本農芸化学会誌. 64. 123-128 (1990)
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[Publications] R.Nishida: "Sequestration of distasteful principles by some pharmacophagous insects" J.Chem.Ecol.16. 151-164 (1990)
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[Publications] R.Nishida: "Volatile components of male rectal glands of the melon fly,Dacus cucurbitae Coquillett" Appl.Entomol.Zool.25. 105-112 (1990)