1990 Fiscal Year Annual Research Report
非アロフェン質黒ボク土の分布と酸性障害発現機構の解明に関する研究
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01560068
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三枝 正彦 東北大学, 農学部付属農場, 助教授 (10005655)
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Keywords | 非アロフェン質黒ボク土 / 酸性障害 / アルミニウム過剰害 / 交換酸度 / 土壌酸性 / 土壌溶液 / 下層土酸性 / 黒ボク土 |
Research Abstract |
本年度は東北各県より、環境基礎調査の定点土壌(245地点、393試料)を分与戴き東北地方の黒ボク土の類型区分と非晶質成分の特性を検討した。非アロフェン質黒ボク土の区分は基本的には未耕地黒ボク土と同様にパイロフオスフェイト可溶Alに対する酸性蓚酸塩可溶Alの比(Alp/Alo)>0.5を用いた。しかし我国の黒ボク土の分類では、非腐植質非アロフェン質黒ボク土も含まれるのでAlp/Alo<0.5でSio<0.5%の試料についてはAlp値の補正や粘土含量も考慮して区分した。 この区分結果と開拓地生産力阻害要因図、火山灰分布図、気象要因などを考慮し東北地方におけるアロフェン質黒ボク土と非アロフェン質黒ボク土の分布図を作成した。これによると、非アロフェン質黒ボク土の分布割合は、降雨量と大きく関係し、太平洋側より日本海側で、また低地より高標高地で高い。これに対して、アロフェン質黒ボク土は降雨量の少ない青森県南東部や有色ガラスに富む(岩手山、蔵王山)あるいは、軽石質の(那須、安達太良山)火山灰地帯に分布する。また、存在したアロフェンはAl/Si比約2のAlに富む物であった。 黒ボク土の植物有害Alについてゴボウを用いて検討したところ、ゴボウ根の伸長は、土壌溶液Alより土壌に吸着された交換性Alと密接に関係していた。従って、黒ボク土のAlの過剰害の土壌診断法としては交換酸度y1が簡便かつ有効であった。 精密圃場によるオオムギ(冬作)の栽培試験から、黒ボク土における下層土の重要性が指摘された。すなわち、強酸性下層土の非アロフェン質黒ボク土ではオオムギ根の下層土への伸長が阻害され、オオムギの生育収量・窒素吸収量がアロフェン質黒ボク土より著しく低下した。また、夏作においても、非アロフェン質黒ボク土のソルガムでは、生育収量・窒素吸収量とともに水分吸収量が阻害された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] SAIGUSA,M.,MATUYAMA,N.,HONNA,T.and ABE,T.: "Chemistry and fertility of acid Andisols with special reference to subsoil acidity." Plant and Soil. (1991)
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[Publications] 三枝 正彦・庄子 貞雄・西谷 光生・阿部 篤郎: "黒ボク土の酸性障害と交換酸度y1の再評価" 日本土壌肥料学会誌、. 63. (1992)
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[Publications] 三枝 正彦: "低pH土壌における作物の生育ー植物有害Alと下層土のエダホロジ-" 日本土壌肥料学会誌、. 62. (1991)