1989 Fiscal Year Annual Research Report
ムギ類のアルミニウム抵抗性の種間差異の実体と発現機構
Project/Area Number |
01560069
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
森下 豊昭 筑波大学, 応用生物化学系, 助教授 (80015651)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橘 泰憲 筑波大学, 応用生物化学系, 助手 (10015878)
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Keywords | アルミニウム / 抵抗性 / 種間差異 / ムギ / 根の発達様式 |
Research Abstract |
オオムギ、コムギ、エンバクの間には、アルミニウム抵抗性の顕著な種間さい認められる。コムギのアルミニウム抵抗性の品種間差異の発現機構には根からのリンゴ酸分泌量の多少が関係していると認められたが、ムギ類の種間差異の機構の解明には根の発達様式の相違を考慮した根の微小部位ごとの生理的反応を追跡する研究手法の導入が必要である。 そこで平成1年度の研究においては、根の発達様式と根の微小部位のアルミニウム濃度の追跡を中心として、オオムギ、コムギ、エンバクのアルミニウム抵抗性の種間差異の実体と発現機構を明らかにしようとした。水耕栽培した幼植物の根を(1)種子根、(2)古生冠根(3)中生冠根(4)新生冠根の4つに分けて、無処理区、アルミニウム添加区での根量を測定し、また根の先端を切除した後の再生能を比較した。また形態別に区分された上記の根について、根の先端から0-0.5cm、0.5-1.0cm、中央部、および基部のそれぞれの微小部位のアルミニウム濃度をフレ-ムレス原子吸光法により測定した。 オオムギの根は4ppm以上のアルミニウム添加で根端切除後の再生能が消失し、中生冠根に処理期間中に発生した側根の量が著しく減少した。一方、エンバクの根は12ppm添加区でも根端の再生能が維持されており、側根の発生も阻害されなかった。コムギは両者の中間の性質を示していた。根の微小部位のアルミニウム濃度については、未だ側根の発生していない新生冠根については有意の種間差異が認められたが、それ以外の根では変動の巾が大きく傾向差は認められなかった。オオムギでは古い根のアルミニウム濃度がコムギ、エンバクと比較して明らかに低く、一方新生冠根の先端部位の濃度が高かった。エンバクでは古い根のアルミニウム濃度は高いが、新生冠根の根端部のアルミニウム濃度が際立って低くなっていた。
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