1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01560072
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉田 重方 名古屋大学, 農学部, 教授 (20023450)
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Keywords | 根粒菌 / 根粒 / 窒素固定 / カスガマイシン / 種子コ-ティング / ダイズ / アルファルファ / インゲン |
Research Abstract |
本研究では根粒菌の接種効果を高める方法として、薬剤耐性の根粒菌株を接種根粒菌として用い、菌株と同時に薬剤を種子接種する方法を検討した。ダイズ種子をカスガマイシン液(250ー1000ppm)で浸漬処理した場合、ダイズ幼植物の生育は抑制されず、土着菌による根粒着生のみが抑制されることを認めた。ついで上記の処理に加えてカスガマイシン耐性根粒菌を種子接種した場合、ポット栽培、圃場栽培したダイズの生育や莢収量が増加し、かつ着生根粒の窒素固定能も高まることを認め、本研究で指向した根粒菌接種法が妥当であることが明らかとなった。 しかし、上記の方法は播種直前に種子処理を行わなければならないという欠点がある。そこで、その改良法として種子コ-ティングによる方法を検討した。根粒菌およびカスガマイシンの吸着剤として活性炭、固着剤としてカルボキシメチルセルロ-ズ(CMC)、アラビアゴム(GA)ポリビニ-ルアセテ-ト(PVA)について検討した。その結果、20%PVAを用いダイズ種子を活性炭でコ-ティングする方法が最も良好であった。また、アルファルファを用いた種子コ-ティングの作製には過酸化カルシウムによるものが炭酸カルシウム等によるものに比べて優れ、発芽、初期生育とも促進されることが明らかとなった。 本研究の応用には接種根粒菌の大量増殖が必要となる。その方法として葉タンパク製造の際に排出するアルファルファ茎葉の脱タンパク上澄液の利用を検討し、同溶液がアルファルファ根粒菌の増殖培地としてイ-ストエキスーマニト-ル培地と同様、もしくはそれ以上に有用であることを認めた。上記と同様の手法をインゲンについても検討するため、窒素固定能の高いインゲン根粒菌株の採取、分離を試みたが、現在のところ、接種菌として利用できる窒素固定能の高い有用な菌株は得られなかった。
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[Publications] ISOI,T.and S.YOSHIDA: "Growth,nodulation and nitrogen fixation of soybean plants with seeds treated with kasgamycin" Soil Sci.Plant Nutr.,. 36. 283-285 (1990)
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[Publications] 鬼頭 誠、吉田 重方: "アルファルファの生育および窒素固定に及ぼす土壌水分環境の影響" 日作紀. 59. 455-460 (1990)
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[Publications] 鬼頭 誠、吉田 重方: "アルファルファ緑葉脱タンパク上澄液の根粒菌培地としての利用" 土肥誌. 61. 454-459 (1990)
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[Publications] 鬼頭 誠、吉田 重方: "アルファルファの生育、窒素栄養に及ぼすアルファルファ緑葉脱タンパク上澄液の施用効果" 土肥誌. 61. 592-597 (1990)
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[Publications] 鬼頭 誠、吉田 重方: "アルファルファの発芽および初期生育に及ぼすアルファルファ緑葉脱タンパク上澄液の影響" 土肥誌. 61. 512-514 (1990)
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[Publications] ISOI,T.and S.YOSHIDA: "A comment on poor nitrogen fixation of common bean(Phasealus vulgaris)" Soil Sci.Plant Nuts.