1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01560080
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
前島 正義 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (80181577)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 静夫 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (90001651)
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Keywords | 液胞膜 / ピロホスファタ-ゼ / アデノシントリホスファタ-ゼ / プロトンポンプ |
Research Abstract |
高等植物の液胞膜に局在するATPaseと無機ピロリン酸ピロホスフイァタ-ゼの2つのプロトンポンプについて、本年度はタンパク質レベルでの実体解明と生化学的性質の解明に焦点を当て、いくつかの重要な知見を得た。 ピロホスファタ-ゼは分子サイズ73kDaの単一のポリペプチドで構成されている。ゲルろ過法あるいは界面活性剤共存下でのポリアクリルアミド電気泳動での挙動は、この酵素が単量体ではなく多量体構造をとっている可能性を強く示唆した。73kDaのタンパク質がプロトン輸送能を保持していることは、プロトンチャンネル阻害剤であるDCCDがタンパク質に共有結合して活性を抑制すること、特異抗体が加水分解活性のみでなく膜小胞でのプロトン輸送を阻害する、などの点から確認できた。液胞膜の酵素は、他の膜結合型あるいは可溶性型ピロホスファタ-ゼとはMg^<2+>要求性、過剰基質による阻害などいくつかの共通点を持つものの、分子サイズ、抗体の反応性、K^+による活性促進、リン脂質要求性などの点で明らかに異なっている。 一方液胞膜のATPaseについては、これまで言われてきた3種ではなく合計9種の分子サイズの異なるサブユニットで構成されていることを明らかにした。ほぼ同時期に発表された他のグル-プの論文もこれを支持している。ATPaseは液胞型の他にF_1型(ミトコンドリア、葉緑体)とP型(真核細胞の細胞膜)が知られている。本研究の結果は、液胞膜ATPaseが酵素阻害剤に対する感受性等についてはF_1型P型のいずれとも異なるが、サブユニット構成あるいは4次構造の点ではF_1型に似ていることを示した。このことは触媒サブユニットの抗体反応性からも示唆されていた。ただ、調節サブユニットの1つと考えられる38kDaサブユニットに対する抗体は、植物ミトコンドリアATPaseのいずれのサブユニットとも反応しなかった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] MAESHIMA Masayoshi: "Purification and properties of vacuolar membrane protontranslocationg inorganic pyrophosphatase from mung bean" Journal of Biological Chemistry. 264. 20068-20073 (1989)
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[Publications] MATUUTA-ENDO Chie: "Subunit composition of vacuolar membrane H^+-ATPase from mung bean" European Journal of Biochemistry. 187. 745-751 (1990)
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[Publications] MAESHIMA Masayoshi: "Development of vacuolar membranes during elongation of cells in mung bean hypocotyls" Plant & Cell Physiology. 31. (1990)
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[Publications] MAESHIMA Masayoshi: "Inhibition of proton-translocating inorganic pyrophosphatase of vacuolar membrane by calcium" European Journal of Biochemistry.
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[Publications] 前島正義: "植物細胞の活動をささえる液胞膜の機能" 植物細胞工学. 2. 79-83 (1990)
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[Publications] MAESHIMA Masayoshi: "Plant Water Relations and Growth under Stress(Proceedings of the Yamada Conference XXII)分担執筆(pp.407-409)" Myu K.K.(Japan), 507 (1989)
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[Publications] 前島正義: "現代植物生理学,第2巻(全5巻)“エネルギ-代謝"(分担執筆)" 朝倉書店,