1989 Fiscal Year Annual Research Report
ペプチジルアルギニンデイミナ-ゼのエストロゲンによる誘導とその生理的意義
Project/Area Number |
01560086
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
高原 英成 茨城大学, 農学部, 助教授 (30122063)
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Keywords | ペプチジルアルギニンデイミナ-ゼ / エストロゲン / マウス子宮 / 免疫組織化学 / 卵巣摘出マウス |
Research Abstract |
ペプチジルアルギニンデイミナ-ゼ(以下PADaseと略記)はCa^<2+>の存在下で蛋白質のArg残基を脱イミノレCit残基に変換する蛋白質修飾酵素である。PADaseは脊椎動物界に広く分布しているがその生理機能は不明である。最近筆者らは、マウスの子宮においてPADase活性が性周期に伴い変価することを見出した。これは子宮内PADase活性が性ホルモンによって制御されていることを示唆する。本研究では卵巣摘出マウスを用い各種ホルモンによるPADaseの誘導的生成について検討した。10〜14週齢のマウスより卵巣を摘出し10〜14日後各種の性ホルモンを投与した。卵巣摘出マウスの子宮は微弱な活性しか示さないが、エストロゲン投与により活性が高まりその増加量はエストロゲン活性の強い順、即ち17β-エストラジオ-ル、エストロン、エストリオ-ルの順に高かった。またエストラジオ-ル安息香酸エステルは生体中で分解され難いためか上記のものに比べより強い誘導能を示した。またプロゲステロンは効果がなく、エストロゲンと併用した場合はエストロゲンの効果を著しく低下させた。エストラジオ-ル安息香酸の投与量と投与後各時間におけるPADase活性の変化について調べた結果、1匹当り(約20g体重)0.25μgから明確な誘導が認められ、25μgで最大となった。また時間変化は25μg投与において7.5hrで上昇が認められ30〜45hrで最大に達し、60〜75hrで緩やかに減少した。つぎにこれら活性変化とPADase量との関係を明らかにするためにマウスPADase特異抗体によるWestern-Blotによる解析を行った。その結果エストロゲンによる活性増加は酵素量の増加によることが判った。またこの変化が子宮組織内の何れの部位で起っているかを免疫組織化学により検討したところ、内腔上皮および腺上皮においてのみ変化が認められた。これらの結果は、正常マウス子宮におけるPADaseの性周期変化および局在性を再現していることから、子宮内PADaseがエストロゲンの制御下にあることが証明された。
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Research Products
(1 results)