1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01560091
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
岡田 嚴太郎 静岡大学, 教育学部, 教授 (70021904)
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Keywords | Trichoderma viride / セルラ-ゼ / セルラ-ゼ系 / 多機能高活性型セルラ-ゼ / Meicelase / 複合酵素系 / βーセロビオ-ス / グリコシレ-ション作用 |
Research Abstract |
平成元年度の研究で、天然セルロ-スに対し特異な高活性を示す新規多機能セルラ-ゼ成分を、Trichoderma virideの液体培養物から高純度かつ高収率で得る単離・精製法を確立した。平成2年度の研究では、当該新規精製セルラ-ゼの作用特性・機能特性などを精査することにより、天然セルロ-スの酵素的分解機構の完全解明を目的とした。以下に、本年度得られた研究実績の概要を列記する。 1) T.virideの液体培養物より調製された市販セルラ-ゼ製剤(メイセラ-ゼ,lot No.CEPBー5019)を出発材料として、昨年度確立した精製法に従って、当該新規セルラ-ゼ成分(セルラ-ゼIIーb)を高純度かつ高収率で精製した。 2) 精製セルラ-ゼIIーbはβーDーセロビオ-ス(βーG_2)を特異的に利用して、短期間内に多量のグルコ-ス(G_1)を精製する機能を具備しており、その反応曲線はエキスポネンシャルな様相を呈した。 3) 100mMのβーG_2に比較的長時間精製セルラ-ゼIIーbを作用させると、反応曲線はシグモイド型を呈した。この事実は、本G_1生成反応がsingleーstepの反応ではなく、multiーstepの反応であることを強く示唆している。 4) 3)の反応条件下で、反応生成糖を経時的にPPCで解析すると、生成糖には多量のグルコ-スばかりでなく、少量のセロトリオ-ス(G_3)、セロテトラオ-ス(G_4)、ゲンチオビオ-スなどが確認された。 5) セルラ-ゼIIーbの有する特異な縮合・転移・水解作用により、βーG_2からG_1、G_3、G_4、ゲンチオビオ-スが生成される機構は、G_4の濃度を一定に保持しつつ、サイクリックな経路をたどるものと思われる。 6) 多数のデ-タを総合して、天然セルロ-スの酵素的分解機構に関する新規概念を提出した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 岡田 嚴太郎: "Trichoderma virideの加水分解酵素に関する研究" 澱粉科学. 37. 287-298 (1990)
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[Publications] 岡田 嚴太郎: "セルラ-ゼ研究の進歩と今後の展開" バイオサイエンスとインダストリ-. 48. 1055-1062 (1990)
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[Publications] 岡田 嚴太郎: "ゲンチオオリゴ糖を主成分とする機能性苦味糖質の開発" BIO INDUSTRY. 7. 662-668 (1990)
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[Publications] 岡田 嚴太郎: "ゲンチオオリゴ糖の性状と食品への応用" New Food Industry. 32. 28-32 (1990)
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[Publications] 岡田 嚴太郎: "ゲンチオオリゴ糖の特性と利用" 別冊 フ-ドケミカルー4. 138-142 (1990)