1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01560093
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
旭 正 名古屋大学, 農学部, 教授 (10023392)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 研三 名古屋大学, 農学部, 助教授 (80164292)
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Keywords | 遺伝子発現制御 / カタラ-ゼ遺伝子 / 植物カタラ-ゼ / トランスジェニック植物 / ヒマ / プロモ-タ- |
Research Abstract |
ヒマにはいくつかのカタラ-ゼ遺伝子が存在する。このうち2種の遺伝子CAT1とCAT3がクロ-ニングされ、CAT1遺伝子は種子発芽の際に胚乳と子葉のみで誘導的に発現するのに対し、CAT3遺伝子は幼植物ではすべての器官で発現していることがわかっていた。本研究でこれら両遺伝子の全構造を明らかにすると共に、CAT3遺伝子が緑葉では発現しないことも明らかにした。これら両遺伝子の発現調節の分子機構を明らかにする目的で、これら両遺伝子の色々な長さの5'上流域と大腸菌のβーグルクロニダ-ゼ遺伝子との融合遺伝子(CAT1ーGUSとCAT3ーGUS融合遺伝子)を作製し、タバコ培養細胞における一過性および安定の両発現を調べた。両融合遺伝子の場合とも、長い5'上流域はタバコ培養細胞で強いプロモ-タ-活性を示した。特に、CAT3遺伝子の長い5'上流域は、外来遺伝子のトランスジェニック植物での強力発現のためのプロモ-タ-として現在普遍的に使われているカリフラワ-モザイクウィルス35SRNA遺伝子のプロモ-タ-よりも数倍ないし十数倍の強いプロモ-タ-活性を示した。安定発現を調べた実験から、CAT3遺伝子の5'上流域には数多くの、CAT1遺伝子の5'上流域には少くとも2種の、プロモ-タ-活性を強めるシスエレメントが存在することが示唆された。次にCAT3ーGUS融合遺伝子を導入したトランスジェニックタバコを育成し、この融合遺伝子の組織ごとの発現の様相を調べた。長い5'上流域の場合には、すべての細胞で強い発現がみられた。しかも、このトランスジェニックタバコから得られた種子を発芽させたところ、各組織で発芽とともに強く発現した。短い5'上流域の場合には、組織特異的ないし細胞特異的発現がみられ、いくつかの組織特異的発現にかかわるシスエレメントの存在が示唆された。
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[Publications] 旭 正: "遺伝子導入植物に関する研究の現状と将来" 植物細胞工学. 1. 15-18 (1990)
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[Publications] 旭 正: "分子生物科学12巻 植物の機能" 岩波書店, (1991)
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[Publications] 前島 正義: "エネルギ-代謝(現代植物生理学第2巻)" 朝倉書店, (1991)