1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01560127
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
加藤 富民雄 佐賀大学, 農学部, 助教授 (90109223)
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Keywords | 抗酸化物質 / ツアペック倍地 / Aspergillos sojae / ペプチド / アスパラギン酸 / グリシン |
Research Abstract |
1.抗酸化物質生産菌として、研究室保存のAspergillus属5株と市販の醤油麹菌から分離した3株を用いた。基本的な倍地としてはCzapek倍地を使用し、30℃で振盪培養後培養上清の抗酸化活性をMishraらのアスコルビン酸の自動酸化を利用する方法で測定した。使用した8株の中ではA.sojaeUが最も活性が高く、A.oryaeは活性は低かった。A.sojaeUを用いて倍地の炭素源や窒素源の種類と濃度を変えて培養したところ、炭素源の抗酸化物質生産への影響はほとんどなく、窒素源の影響が大であった。すなわち、窒素源として硝酸ナトリウムや尿素を0.3%加えた時に活性が高く、同量のポリペプトンや硫酸アンモニウムでは菌体の増殖に差はないが活性は10分の1以下であった。A.sojaeUをツアペック倍地で、30℃、28日間振盪培養することで約10000units/mlの抗酸化活性を持つ培養液上清が得られた。 2.抗酸化物質の精製方法について検討した。抗酸化物質はニンヒドリン陽性で、紫外部吸収が低く、透析膜を通過する分子量1万以下の物質であることからアミノ酸を含む物質であると考えられた。そこでDEAE-セルロファインカラムに培養液上清の濃縮液をかけ、抗酸化物質をNaclの濃度勾配で溶出させた。活性画分をセファデックスG15カラムでゲルろ過し、濃縮後マイクロアシライザ-で脱塩したものを凍結乾燥した。 3.上記の部分精製標品についてその組成と若干の性質を検討した。この抗酸化物質には糖やりんなどは含まれておらず、アミノ酸アナライザ-にかけると酸性領域に一つのピ-クとして検出された。6NHClで加水分解するとアスパラギン酸とグリシンが等モル検出され、前記のピ-クは消失しており、活性も失なわれていたことから抗酸化物質はアスパラギン酸とグリシン等モルからなるペプチドであろうと推察された。この抗酸化物質は各種タンパク分解酵素による影響をうけなかった。
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