1989 Fiscal Year Annual Research Report
有機溶媒中での固定化酵素による呈味性ペプチドの合成
Project/Area Number |
01560151
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中西 一弘 岡山大学, 工学部, 教授 (90026584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 孝明 岡山大学, 工学部, 助手 (00217043)
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Keywords | パパイン / 旨味ペプチド / 固定化酵素 / ジペプチド / グルタミン酸 / アスパラギン酸 |
Research Abstract |
旨味成分や苦み遮蔽効果を有するグルタミン酸(Glu)やアスパラギン酸(Asp)等の酸性アミノ酸からなるオリゴペプチドを、タンパク質分解酸素の加水分解反応を利用して効率よく合成することを最終目的として検討を行った。具体的対象としてGluGlu,AspAsp,GluAsp,AspGluの4つのジペプチド前駆体の合成を取り上げた。また、反応基質の酸成分としては、Asp,Gluのアミノ基がZ(Benzyloxycarbonyl)基で置換されたものが、また塩基成分としては、側鎖、及び末端カルボキシル基がエチル基で保護されたジエチルエステルを使用した。得られた主な結果を以下に示す。 (1)上記ジペプチドを効率よく合成するための酵素としては、パパインが最も適していた。 (2)いずれの反応も緩衝液中では全くジペプチドは合成されなかったが、酢酸エチルを添加した水ー有機溶媒=相系では高収率が得られた。また、酸成分に比較して塩基成分濃度が高い方がより高収率が得られた。 (3)酵素を各種担体に吸着後、グルタルアルデヒドで架橋することにより固定化した。担体としては、多孔性のセラミックスが最も高い活性を示した。また、合成速度は反応液(酢エチ)中の水分濃度に大きく依存したが、水分濃度が2.7%のときに最大であった。 (4)GluGluとAspAspの前駆体の合成に関しては、反応中に基質の塩基成分の環化反応(ピロ化)が、合成反応と並列的に起こるために、ジペプチド前駆体の収率は固定化酵素濃度に依存した。固定化酵素濃度を1%以上にすると、相対的にこの副反応は無視でき、酸成分100mMと塩基成分200mMでは収率は90%以上に、また両成分が100mMの場合でも80%に達した。
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