1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01560152
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
河津 一儀 岡山大学, 農学部, 教授 (30026520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神崎 浩 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (60183787)
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Keywords | Agrobacterium tumefaciens / 形質転換阻害 / クラウンゴ-ル / ポテトディスク法 / Oxazolomycin / JulichromeQ1・3 / JulimycinBーII / アントラキノン |
Research Abstract |
1.土壌細菌Agrobacterium tumefaciensは、植物に感染し、クラウンゴ-ルと呼ばれる腫瘍を形成する。この腫瘍は、本細菌のTiプラスミド中のTーDNAが植物の核遺伝子に組み込まれ、T-DNA上の植物ホルモン合成遺伝子が発現し、植物細胞が異常増殖した結果生じる自然界での遺伝子組換えの典型である。しかし、その形質転換機構は非常に複雑でT-DNAのTiプラスミドからの切り出しが細菌内で起こるのか、植物細胞内で起こるのかなど、未だ明らかにされていない部分が多い。この機構の詳細を解明するには、形質転換の過程に特異的に作用する物質が有用なプロ-ブとなると考えられる。そこで、本細菌に対する抗菌性や宿主植物に対する毒性をもつ物質を除外しながら、ポテトディスク上のクラウンゴ-ル形成阻害活性を指標にして、形質転換阻害物質をもつ検索した。 2.放線菌の培養液から、すでにクラウンゴ-ル形成を阻害する物質として、Oxazolomycinを単離同定した。しかし、この化合物は、本細菌に顕著な抗菌性をもつため、このクラウンゴ-ル形成阻害活性は本細菌に対する抗菌性によると考えられる。化学変換による活性の変化を調べたところ、各種エステル体は、クラウンゴ-ル形成阻害を保有していたが、本細菌に対する活性を失なっていた。種々の試験によって、これらのエステルは、本細菌に対する抗菌性、宿主植物に対する毒性以外の作用様式、即ち形質転換の過程でクラウンゴ-ル形成を阻害していることを明らかにした。 3.さらに、土壌微生物の培養液をポテトディスク法によってスクリ-ニングした結果、放線菌TMー71株から、2種の活性物質ビスアントラキノンを得た。両化合物を、それぞれJulichrome Q1・3,Julimycin BーIIと同定した。両化合物は、本細菌に対しても、宿主植物に対しても毒性を示さないことから、形質転換過程を阻害していると推定した。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Satoru Kawai,Goro Kawabata,Akio Kobayashi,Kazuyoshi Kawazu: "Inhibitory effect of oxazolomycin on crown gall formation" AGRIC.BIOL.CHEM.53(4). 1127-1133 (1989)