1989 Fiscal Year Annual Research Report
森林の遷移過程をきめる樹種の生存戦略に関する生態生理学的解析
Project/Area Number |
01560168
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
荻野 和彦 愛媛大学, 農学部, 教授 (90026394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻田 昭夫 愛媛大学, 農学部, 助教授 (50036307)
二宮 生夫 愛媛大学, 農学部, 助教授 (80172732)
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Keywords | 森林遷移 / 樹種特性 / 光合成 / 葉群動態 / 耐陰性 / ケヤキ / クヌギ / アカメガシワ |
Research Abstract |
天然生林の再生・発達経過を構成樹種の生態生理過程によって解明するため、生育環境が光合成、蒸散能力にどの様な影響をおよぼすかを樹種ごとにあきらかにする目的で、以下の測定解析をおこなった。 1.天然生林主要構成樹種(ケヤキ、クヌギ、アラカシ、マテイバシイ、モミ)の幼苗をポットに植栽し、被陰処理によって異なった相対照度のもとで生育させ、生長解析と潜在的光合成能力の測定をおこなった。 2.アカメガシワを材料に用い、葉群動態および現地での光合成、蒸散と潜在的光合成能力の測定をおこなった。 ケヤキ、アラカシ、マテバシイ、モミの4樹種は相対照度12.5%以下の生育光環境で光-光合成曲線の初期勾配が増加し、低照度下での光合成能率が上がった。クヌギは暗い光環境に生育しても低照度下での光合成能率は上がらなかった。光合成速度の飽和値は前掲の4樹種では生育光環境の明暗に影響されなかったが、クヌギは低照度区ほど飽和値が低下した。葉の平均寿命は4樹種では低照度ほど長くなったが、クヌギは低照度区ほど短くなった。以上の光合成能力解析の結果からクヌギは他の4樹種にくらべて低照度での生育に適さないことをみいだした。アカメガシワの開葉パタ-ンは順次開葉型を示し、下位葉すなわち旧展開葉ほど葉面受光量と光合成量が低下した。蒸散量は葉位によって大きな変化はしめさなかった。光-光合成曲線の初期勾配は下位葉で増加せず、飽和光合成速度は下位葉ほど低くなった。アカメガシワの葉の生活様式を光合成能力から解析した結果、新葉をつぎつぎに展開するのが、下位葉では葉面受光量が低下するとともに低照度域の光合成能率が上がらず、光合成量が減少し、下位葉から順次落葉していくことを明らかにした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 徐国林: "庇陰処理による数種の苗木の光-光合成曲線の解析" 日林論. 100. 437-438 (1989)
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[Publications] 徐国林: "樹木の光合成能力と生育の光環境 庇陰処理による数種の苗木の光-光合成曲線の解析" 日本緑化工学会誌.
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[Publications] 二宮生夫: "アカメガシワの葉群動態と光合成能力" 日林論. 101.
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[Publications] 徐国林: "数種の苗木の光環境による葉の形態変化" 日林論. 101.
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[Publications] 市河三英: "モミ・ツガ天然生林二次林における種子の生産・散布" 日林論. 100. 325-326 (1989)
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[Publications] エリザル ムクタル: "モミ・ツガ天然生林構成樹種の幹の水分通導特性" 日林論. 100. 405-406 (1989)