1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01560174
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
石垣 逸朗 日本大学, 農獣医学部, 講師 (50060075)
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Keywords | 樹冠内滴下量 / 樹幹流下量 / 遮断量 / 樹木特性 / 葉面積指数 / 単木吊り下げ法 / 蒸発散 / 枝打ち |
Research Abstract |
森林樹冠への雨水着量と遮断蒸発量を量的に把握することは、森林の水源かん養機能を明確に確立することからも非常に重要な研究課題である。近年社会的要求の中の水資源の確保の面からも、また環境保全問題の一つとしての水問題を解決するうえからもこの種の問題は大きなキ-ワ-ドとなっている。しかし、これらの問題を最終的に解決するには森林地の有効的な施業法の確立など、より実践的な研究が今後必要となる。森林地を取りまく環境が多岐にわたるため、樹木への付着水分量および蒸発散を的確に表現するには、幾多のブラックボックスが存在している。これまで樹冠遮断解析にあたり種々の方法が提案されている。しかし、より詳細なナカニズムの解明を行うには樹木・森林特性をも組み入れた考察が必要で、このことの究明が有効的施業法の確立に結びつく。本研究は、これらの問題解明の一つとしての、ブラックボックスである樹木特性を取り上げ、単木吊り下げ法をもちいて検討を行った。実験試料に28・8年生のヒノキ・スギをもちい、3種の降雨強度、4種のLAIで実験を行った。著者はHortonが示した式I=S+KETにおいて第2項決定には第1項が重要な役割を果たしているとの認識のもとに、気象・樹木因子を組み入れ考察を行った。樹冠内に貯留し蒸発散として消失する水分のほかに、樹冠を通じて林床に到達する雨水の量的把握も遮断機能を解明するうえで重要な要素である。本実験は、以上の観点から、樹水特性(葉面積指数、しなり、枝葉の垂直的分布、枝打ち条件等)が遮断量、樹幹流下量、樹冠内滴下量にどのように影響しているかについて実現象を主体に計測を行った。考察にあたり各降雨強度・樹木特性別に、降雨中、停止後に区分して検討した。その結果、樹木内条件が変化するに従い樹冠内滴下量、樹幹流下量、遮断量が大きく変化し、その原因として樹冠内の枝葉の垂直的配分と降雨中の枝葉のしなれおよび枝葉の樹冠内密度が大きく関係しており、樹冠遮断蒸発を考察するうえで微気象を組み入れた解析もさることながら、今回行った考察も非常に重要な関係因子になることを示唆したものと考える。今後、林分として検討した場合にこの樹木特性がどのような働きをするかについて考察を行う必要がある。
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Research Products
(1 results)