フェノ-ル・ユリア交互共重合体の合成に関する基礎的研究とその応用

1990 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 01560176
• Research Institution: The University of Tokyo
• Principal Investigator: 富田 文一郎 東京大学, 農学部, 助教授 (40012075)
• Keywords: フェノ-ル・ユリア共縮合 / 動力学解析 / 2ーヒドロキシベンジルアルコ-ル / 4ーヒドロキシベンジルアルコ-ル / ユリア / ホルムアルデヒド / 2,4,6ートリメチロ-ルフェノ-ル

Research Abstract

メチロ-ルフェノ-ルとユリア(U)より共縮合体を合体する際の基礎反応であるメチレン結合生成の化学動力学を、2,4,6ートリメチロ-ルフェノ-ル(TMP)、2ーヒドロキシベンジルアルコ-ル(OMP)、4ーヒドロキシベンジルアルコ-ル(PMP)をモデル化合物に用いて解析し次の結果を得た。1.TMPとUとの共縮合反応においては、オルトメチロ-ル基とパラメチロ-ル基がUと同時に反応する併発系となる。これらの反応を2次反応として速度定数の比(反応性比)をr=ko/kpとすると、rはUの濃度に依存せずそれぞれの初期濃度と反応後の濃度から精度よく求められることが確認された。その結果、シュウ酸、硫酸、塩酸、硝酸などの酸触媒を用いた反応系の反応性比の値は0.06ー0.08の範囲にあり、パラメチロ-ル基の反応性が高いことが確認された。2.メチロ-ルフェノ-ル混合物とUから実用的な共縮合樹脂を合成する際には、共縮合と同時にメチロ-ルフェノ-ル同士間のメチレン結合生成による自己縮合が併発する。このような系について、OMPとPMPを用いてそれぞれの自己縮合と共縮合の2次反応速度定数の比(K=k[自己縮合]/k[共縮合])を決定することができた。その結果、OMPは、Uとの共縮合よりもオルト位とパラ位間の自己縮合が起りやすく、Kの値は5ー10程度であった。一方、PMPのKの値は0.5程度であり共縮合生成が優先することが判明した。これらのことから未置換のパラ位の存在が、自己縮合生成に大きく関与することが判明した。
このような複雑な併発反応系の動力学的解析は、今までホルムアルデヒド系樹脂の分野ではなされておらず、この手法がこの分野の発展に繋がると思われる。また、これらの結果より、共縮合率の高いフェノ-ル・ユリア共縮合樹脂を合成する条件が理論的に設定できることになり実用的な応用が期待される。

Research Products

• [Publications] Bunichiro TOMITA: "Cocondensation of Urea with Methylolphenol in Acidic Condition" J.Polymer Sci.,Polym.Chem.Ed.
• [Publications] Bunichiro TOMITA: "Structural Analysis of PhauolーFormaldehydeーUrea Cocondensed Resins" J.Polymer Sci.,Polym.Chem.Ed.
• [Publications] Bunichiro TOMITA: "Dynamic Mechanical Properties of PhenalーFormaldehydeーUrea Cocondensed Resiens During and After Curing" J.Polymer Sci.,Polym.Chem.Ed.
• [Publications] Bunichiro TOMITA: "Determination of Chemical Kinetics of Reaction between Urea and Monometbylolphenols" J.Polymer Sci.,Polym.Chem.Ed.
• [Publications] Yasunori Yoshida: "Chemical Kinetics on Concurrent Cocondensation of 2,4,6ーTrimethylolphenol with Urea" J.Polymer Sci.,Polym.Chem.Ed.
• [Publications] Yasunori Yoshida: "Chemical Kineties on Concurrent Reactions Involving Cocondensation of Methylolphenols with Urea and SelfーCondensation of Methylolphenols" J.Polymer Sci.,Polym.Chem.Ed.
• [Publications] 吉田 育紀: "メチロ-ルフェノ-ルとユリアの共縮合反応における動力学" 第40回日本木材学会大会研究発表要旨集. 132-132 (1990)
• [Publications] 大山 昌彦: "フェノ-ル・ユリア共縮合樹脂の硬化物性" 第40回日本木材学会大会研究発表要旨集. 133-133 (1990)
• [Publications] 吉田 育紀: "メチロ-ルフェノ-ルとユリアの共縮合反応における動力学(II)Oーおよびpーメチロ-ル基の反応性" 第41回日本木材学会大会.
• [Publications] 吉田 育紀: "メチロ-ルフェノ-ルとユリアの共縮合反応における動力学(III)共縮合と自己縮合の併発系" 第41回日本木材学会大会.