1990 Fiscal Year Annual Research Report
圧電現象を利用した木材の破壊機構の解析法の開発に関する基礎研究
Project/Area Number |
01560182
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
祖父江 信夫 名古屋大学, 農学部, 助手 (50023495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 康寿 名古屋大学, 農学部, 助手 (90154004)
都築 一雄 名古屋大学, 農学部, 助教授 (60023438)
竹村 冨男 名古屋大学, 農学部, 教授 (90014919)
平井 信之 静岡大学, 農学部, 教授 (70023439)
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Keywords | 圧電現象 / 木材 / 破壊 / 力学解析 / 負荷様式 |
Research Abstract |
本年度は、準静的負荷による木材の破壊過程における圧電現象の検討と圧電現象の発生機構に関する考察を行った。 1.圧電効果の検出法の検討:圧電効果による電荷を検出する電荷アンプは静的感度を持たないので、油圧制御の疲労試験機を用い、静的荷重と微小変動荷重を重畳させて準静的な負荷による圧電効果の検出方法を検討した。これにより、静的負荷レベルを破壊荷重に至るまで変化させ、重畳した変動荷重によって圧電出力を検出できるようになった。 2.木材の圧電異方性と周波数特性:円盤状試験体によって圧電効果の異方性を調べた結果、従来あまり明瞭には認められなかった繊維方向および繊維直角方向に軸応力が作用する場合においても、圧電効果が観測された。また、1Hzから110Hzにおける周波数特性を調べた結果、圧電出力は約10Hzを境にして低周波域で急激に低下した(水分による電荷の漏洩効果に起因すると思われる)。 3.負荷の平均応力を破壊荷重に至るまで段階的に増加させ、圧電効果(単位応力当たりの出力電圧)の応力レベルの依存性を調べた。平均応力の増加につれて圧電効果はわずかずつ減少した。また、破壊開始点の付近で顕著な減少を示したのち終局破壊時に急増を示し、木材の破壊と圧電効果の変化の対応が認められた。 4.従来、木材の繊維方向および繊維直角方向に軸応力が作用する場合には圧電効果が観測されないといわれているが、セルロ-ス自体は単斜晶系に属するのでd_<31>やd_<32>が存在し、木材中の結晶配向の不均一性によって圧電効果が生じる可能性は残されている。今後、X線回折による微細胞構造との関係を検討し、衝撃負荷による破壊の場合も含め木材の圧電効果の発生機構を明確にする必要が重要と考えられる。
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Research Products
(1 results)