1989 Fiscal Year Annual Research Report
スギ品種とカラマツの材質評価と材質管理への電気伝導性適用のための基礎研究
Project/Area Number |
01560190
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
堤 壽一 九州大学, 農学部, 教授 (00038209)
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Keywords | 材質評価 / 材質管理 / 電気伝導率 / 画像処理 / 年輪構造 / 容積密度数 / ミクロフィブリル / 木材の力学性 |
Research Abstract |
木材の物理性・力学性に基礎を置く材質の評価と管理を、林木生産に連携することが研究の基本目的である。つまり、林木生長と木材利用とを連携できるよう、評価基準に電気伝導性を導入する基礎を確立する。 この年度の研究成果の概要は、次のようにまとめることができる。 1.150〜300stem/haに間伐されたカラマツ林分で、著しい肥大生長を認めるが、成熟材部の容積密度数、仮道管長、およびミクロフィブリル傾角に変化を認めなかった。なお、近年の海外での研究成果と同じく、年輪幅と成熟材容積密度数との間に相関関係を認めなかった。 2.スギ品種が異なれば、スギ材の基本性質は異なる。つまり、スギ材の材質管理には、品種を無視できないことを確認した。 3.木材基本性質の中で最重要な容積密度数と相関を持つ年輪内壁率推定に、普及型画像解析装置が有用であることを認めた。なお、画像解析では、晩材部で若干過大な壁率値を得る。それでも、実測値と画像解析による推定値との間に、晩材部で0.95以上の相関係数を認めた。 4.縦圧縮荷重を受けたとき、年輪内応力分布は仮道管壁構造と密接に関係していることが判った。なお、応力分布測定には、感圧フィルム上の感圧像の濃淡を、画像解析手法で数値変換する手法を確立した。 5.ミクロフィブリル傾角が大きくなると、細胞壁の電気伝導率は減少する。そして、カラマツ材の電気伝導率への、仮道管壁のミクロフィブリル傾角の関与は、2.4〔%/deg〕である実験結果を得た。 6.カラマツ材の電気伝導率は、晩材の電流負担率が大きいようである結果を得た。 7.木材工業における「統計的品質管理手法」への対処を、木材基本性質で実現するための予備的考察を行い、この年度内の基礎デ-タの集積をデ-タベ-スとして確立した。
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