1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01560206
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
日高 磐夫 三重大学, 生物資源学部, 教授 (80046341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森下 達雄 三重大学, 生物資源学部, 教授 (30024839)
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Keywords | 魚類 / ブリ / 摂餌促進物質 / 嗅覚 / 味覚 / エキス |
Research Abstract |
本研究は,マアジ筋肉水抽水エキスが,既往の分析値に基づく合成エキス(アミノ酸,ヌクレオチド,有機塩基を成分として含む)よりブリに対して強い摂餌刺激効果を示すことから,エキス中の未知の有効成分と検索と,有効成分による摂餌刺激と化学感覚との関連について明らかにするために行なった.本年度は主に乳酸について検討した. 1.アマジ筋肉水抽出エキス中の乳酸の摂餌刺激効果 筋肉水抽出エキス中の乳酸の含量を酵素法で測定し,市販の純品を用いて単独,および合成エキスに添加したときの摂餌刺激効果を調べた結果,単独では特に刺激効果を認めなかったが,上記の合成エキスに添加したときに合成エキスの効果を増強した.しかし乳酸を添加した合成エキスの摂餌刺激効果はなお天然エキスより劣るものであった. 2.乳酸の嗅覚器および味覚器にたいする刺激効果 乳酸の味覚器に対する刺激闘値は 10^<ー6>〜10^<ー5>Mで,最も感度の高いアミノ酸であるプロリンの闘値に匹敵するのに対し,嗅覚器ではグルタミンの闘値が 10^<ー8>Mで,アミノ酸に対してはきわめて高い感度を示すが,乳酸の闘値は 10^<ー4>〜10^<ー3>Mで,嗅覚器の乳酸に対する感度はきわめて低いものであった.そのほか,天然エキス,上記合成エキスに対する応答も合わせて考察すると,味覚器応答の結果は摂餌刺激実験の結果によく対応しており,一方,嗅覚器の応答にはそのような対応関係は認められなかった.これらの結果から,口内への取り込み.嚥下の段階においては味覚器が,より遠いところの餌の探索には嗅覚器が密接にはたらいているものと考えられる. 3.今後の課題 乳酸を合成エキスに添加してもなお天然エキスに摂餌刺激効果が劣ることから,今後さらに有効成分の検索が必要である.
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[Publications] Ceng Zeng and Iwao Hidaka: "Single fiber responses in the palatine taste nerve of the yellowtail Seriola quinqueradiata" Nippon Suisan Gakkaishi. 56. 1611-1618 (1990)
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[Publications] 日高 磐夫・神原 淳・森下 達雄・瀧嶋 登志章・宮嶋 俊明・山中 淳: "乳酸のブリ若魚に対する摂餌刺激効果" 第24回味と匂のシンポジウム論文集. 24. 123-126 (1990)
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[Publications] 日高 磐夫・曽 〓: "ブリ顔面神経口蓋枝における単一味神経線維応答" 平成元年度日本水産学会春季大会口演発表(1989.4.4). (1989)
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[Publications] 日高 磐夫・曽 〓: "ブリ味覚器の有機酸に対する感受性" 平成2年度日本水産学会春季大会区演発表(1990.4.3). (1990)