1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01560210
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
及川 信 九州大学, 農学部, 助手 (10175234)
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Keywords | スケ-リング / 代謝量-体重関係 / 仔魚 / 個体発生 / アロメトリ- / マダイ |
Research Abstract |
〔目的〕魚の個体当たり酸素消費量Mと体重Wの間の関係はM=aW^bのallometry式によって表され、単位体重当り酸素消費量M/WはM/W=aW^<b-1>となる。この関係は一般にb<1で、従ってM/Wは成長に伴って低下する。この現象が生活史の初期(仔魚期)でも認められるかどうかをマダイPagrus majorで検討した。 〔方法〕湿重量で0.00020-0.007g(孵化直後-28日齢)の仔魚2,492個体について安静時酸素消費量を、魚の大きさに応じて止水式、ならびに半止水式方法によって20℃で測定した。測定は、3時間から12時間絶食させた魚を呼吸室に導入後、1時間ないし2.5時間安静状態に保った後に行った。また80個体について形態学的検査を行った。 〔結果〕M/W(μl・g^<-1>・min^<-1>)は仔魚期において成長に伴って2相性の個体発生的変化を示した。体重0.00023g前後(孵化直後-6日齢)の魚では、この間、体重変化は殆ど認められず、M/Wは日齢Dと共に直線的に急増し、M/W=4.86+1.47・Dの関係にあった。0.0003-0.007g(8-28日齢)の魚では、M/Wは体重W(g)に対しM/W=12.5W^<-0.052>となり、従ってM/Wはこの間、体重が増大してもほぼ一定であった。酸素消費量のこの2相性の変化は、形態的変化から判断して、第1相は後期仔魚期への移行期を含む前期仔魚期に、第2相は後期仔魚期に対応していた。 このような仔魚期における酸素消費量の個体発生的変化は、成長に伴う体内の構造的変化が仔魚期には稚魚期以降と異なるために生じるものと推察された。前期仔魚期から後期仔魚期への移行期にかけてのM/Wの成長に伴う急増は、この間の、器官形成の急激な進行、活性の著しく低い卵黄と皮下腔の相対的減少、ならびに活動度の増大によるものと考えられた。後期仔魚期にM/Wが体の大きさに関わらず一定であったのは、この間に、活性の高い脳や消化管の体重比が稚魚期以降のように成長しても低下せず、ほぼ一定なためと考えられた。
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